仕事や勉強で疲れたけど、もうひと頑張りしないといけない時、手軽にエネルギー補給できるものに手が出ますよね。古くは「元気ハツラツ!」のオロナミンCでしょうか(アメリカに来てしまったのでしばらく飲んでないなぁ)。

このエネルギードリンク市場というのは、こちらのサイトなどによると、2010年には世界で400億ドル(約3兆2000億円)の規模だったそうで、さらに成長する見通しも発表されています。アメリカでは、レッドブルとモンスターというブランドが人気があります。サッカーや、Xスポーツなどのスポンサーをしていることでも知られていますね。今はちょうど学期末の試験期間なので、学内での消費量が急増しているように見えます。

よく見かけるのはゼリー状のものだったり、飲みものだったりしますが、ここに薄いシートという新しいタイプでの新規参入者が現れました。成長市場ですから、狙う人は当然いると思います。会社名は「sheets brand」と言います(検索する場合、sheet energyでもヒットします)。昨年設立された会社なのですが、今では、大手のコンビニやスーパーなどで普通に買えるようになっており、急速に勢力を拡大していると感じます。

僕自身も試しに買ってみましたが、シート4枚で3ドルほどします。味は自分には少々強すぎる感じがしましたが、軽くて財布や胸ポケットに入れて運べるし、手軽に補給できるのは利点だと思います。ただし、ここで僕は商品の宣伝をしたいのではありません(結果的にはそうなってしまっていますが)。この会社の宣伝の戦略が非常に基本に忠実だなと感じるのです。

まず、エンドースメントです。この言葉は、スポーツマネジメントの世界では有名選手の名声やイメージを利用した商品販売のことを指します。たとえば、スポーツ用品メーカーは、そのイメージに合った有名選手と契約して、商品を使ってもらうことをよくやっていますよね。

sheetの場合、激戦区の市場に知られていない商品を売りに行くのですから、一気に信頼度や知名度を上げることを狙いたいところです。また、ノーカロ リー、ノーシュガーでビタミンなども多少入っているという健康的な要素もアピールしたいポイントに挙げられます。そこで、健康的なイメージを持つ有名人を 宣伝に多数起用しています。スポーツ界ではNBAの顔とも言えるレブロン・ジェームズや女子テニスのスター選手、セリーナ・ウィリアムズなどで、これはほ かのエネルギードリンクメーカーもスポーツを宣伝の場として、よく使っていますから、親和性の高い分野をしっかり抑えていると言えます。レブロンはおそら く金額は高いのでしょうが、この分野のトップを押さえることが勝負どころと見て思い切って投資しているのでしょう。ほかにも女優やモデルを使って、健康的 なイメージを保ちながら、女性へのアピールもしています。

次に、イメージの統一です。エネルギー補給をシートで行うというのが、新しいわけですから、その差別化ポイントのイメージを鮮明に、人々に印象付ける必要があります。そこで、舌にシートをのせている画像と映像を徹底的にアピールしています。まずは、そのイメージの可愛らしいロゴマークをつくっていて、しかもTシャツやキャップまで販売しています。HP上の写真も、上記のレブロンの動画も、そのイメージを徹底しています。

最後に動画中心で、ソーシャルメディアを戦略の中心においていることです。有名人が使用感などを語った動画を宣伝の核としており、しかもことごとく1分以内です。これはソーシャルメディアでの拡散で、飽きさせないことを意識しているのでしょう。また、レブロンやセリーナはスポーツ選手の中でもトップ10に入るくらい、ツイッターやフェイスブックでのフォロワー数が多く、彼らとの契約はこの点でも賢明な選択といえます。最初に書いたように、試験前の大学生などが重要な顧客と考えられるので、その人たちに浸透しているソーシャルメディアを使っていくことは宣伝の最優先事項と考えられます。また、一般の人がシートを舌にのせた写真をソーシャルメディアに投稿してもらうキャンペーンを行っていて、これは絵的にも面白いし、宣伝に出ている有名人と同じような気分にもなれるし、商品のイメージの統一という点からも外れていません。

奇をてらうのではなく、まるでスポーツマネジメントの教科書にでも使われそうな打ち手の数々。存在感を増しているのも、うなづけます。