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オリエンテーションが違う

10.8.27

秋学期のスタートを来週に控えて、今はオリエンテーションがいろいろ行われています。先週は留学生向けのものに5日間を費やしました。
ビザや保険など手続き的な話はある程度予想していましたが、意外なものもあったのでご紹介しておきます。

 交流イベントがかなり多い
新しい環境に慣れるために鍵を握るのは、知り合いや友達をどう増やしていくかだと思います。大学もその辺りを心得ているようで、オリエンテーションの間のランチタイムに、わざわざテーブルとサンドイッチを用意してくれたりしています。そこで適当に座った人同士が会話するわけです。僕の場合は全員男性で、カナダから来た音楽専攻の大学院生、インドからきたジャーナリスト、スペインから来た音楽の学部生(サックスを吹く)と一緒になりました。年齢もバックグラウンドも違います。そこに、インターナショナルセンターの職員やボランティアが混じって座って、話を盛り上げていきます。
音楽の話はみんなで共有しやすいテーマでよかったです。それから僕が「スポーツのことを勉強します」というと、「Oh! Cool」とか言われて、これもみんなが乗ってきやすい。何をプレーするのか、何を見るのが好きかとか。例えば、スペイン出身の彼には「ワールドカップ、おめでとう」と言うと、みんなが「そうだね」という感じで場がなごみました。
他にも、アイスクリームパーティー、ゲーム大会、(僕は参加しませんでしたが)週末のピクニックなどほぼ毎日のようにイベントがありました。さすがにこれだけあると知り合いが増えて、僕の場合は他に韓国、シンガポール、ベトナム、トルコから来た学生とつながりができました。キャンパス内でみかけたときに声を掛けると、居場所ができたという感じがします。

 やる気を出させる
日本では偉い人のあいさつなんかがありましたが、ここではそれ以外に学生の意欲に火をつけるようなオリエンテーションがいくつかありました。
インタナショナルステューデントセンターのトップが力説しました。
「ここには130カ国から学生が集まっている。自らドアをノックしていけば、得られるものはたくさんある」。
同じ国から来た学生で固まってしまうことのないように言っているのかなと思いました。通常のクラブや学生団体の活動のほかに、Asian Culture Centerなどの主催で、無料の語学講座、文化交流会などが毎週のように企画されています。

それから別のセッションでは、「ここを卒業したら、君たちはこう呼ばれる。リーダーだ」と強調していました。つまり、自分が学ぶ分野で、他の人を巻き込み、世の中にインパクトを残す存在になれ、と言っているわけです。
話し方もすごくうまかったです。数百人入る講堂でいわゆる「客いじり」を使ってました。
「質問、ある?」と聞いて、なかなか手が挙がらないと見ると、
「OK。そこのピンクのTシャツの女性。あなたの心の中にある質問を読み取るから」と言い出し、「わかった! リーダーになる意欲はあるけど不安もたくさんあるんだね」と、勉強時間や寮生活などアカデミックライフの不安を取り除くような話をしたりしました。
かっぷくがよくて存在感があり、声にも迫力があって、面白い人だなと思っていたら、最後の方で何者かがわかりました。経営学のリーダーシップ論の教授でした。

日本だと、入学式プラス1日くらいだったという記憶がありますが、こちらは力の入れ具合が違うというか、オリエンテーションのスケジュールが留学生対象に1週間、アメリカの人も混じってさらに1週間と結構びっしりと入っています。
最初に面白いと思ってもらえないと、優秀な学生が流出してしまう可能性があるわけです。大学が発表している統計では、1年生から2年生になるまでの間で全米平均では20%、この大学では11%が転校、もしくは中退しているとのこと(留学生以外も含めた全体の話ですが)。
オリエンテーションの必死さの裏には、そんな事情もあるようです。

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この記事の執筆者

早川 忠宏

早川 忠宏 | Tadahiro HAYAKAWA

スポーツPRプランナー ®
Sports PR Japan 株式会社 代表取締役

13年間の記者経験と米国留学を経て広報に転身。日本ブラインドサッカー協会で初代広報担当として認知度向上に貢献し、PR会社でのコンサルタント経験も豊富。スポーツビジネスに特化した広報支援を展開し、メディアとクライアントへの深い理解を基に、ブランディング強化や認知度向上をサポート。スポーツ関連団体や企業に対する柔軟な対応で、成長を目指すスポーツ関係者から高く評価されている。

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