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スポンサーシップの土台となる考え

11.1.29

春学期も3週目に入り、すっかり宿題に追われる日々が戻ってきました。

大学院でスポーツマネジメントを学ぶメリットは、現場で直接使うことではないけれども、そのバックボーンとなる理論的な考え方をしっかり学べることだと思います。先日のスポンサーシップのクラスでは、スポーツの個人や組織と企業がスポンサー契約を結ぶ際の土台となる考えを学んだので、共有しておきます。僕自身も完全に咀嚼したとはまだ言えないのですが、アウトプットすることで、理解を深めたいと考えました。

心理学や社会学の「社会的交換理論」というのが、その土台になっています。お金がかかる契約に限らず、交際など目に見えないものも含めて、関係は交換が成り立っている時に起こるとする考え方とでも言いましょうか。それをスポーツのスポンサーシップに当てはめて考えるとどうなるかという話です。

<交換で手に入れられるものの合理性>

スポンサーシップを含む社会的交換とは、投資したもの以上のメリットが得られる、こういう成果につながるだろうと双方が期待した時にはじめて成立します。これが手に入れられるものが「合理的。理にかなっている」という意味です。どんな成果が出るかは、契約を結んで実際に始めてみるまでわかりません(以下の文に「見込みを高める」という表現が頻出するのは、このため)。説明には、結婚が例として挙げられたりしています(スポーツに関係のない部分が長くなるので、これはみなさんが想像して下さい)。従って、過去にうまくいったものは、またうまくいくだろうと期待できるので、スポンサーシップに関しては以下の4点を言うことができます。

(1)過去のスポンサーシップが評価されている組織からの提案は、過去に実績のない組織からの提案よりも成功する見込みが高い

(2)過去にその成果が証明されている条件を含んだスポンサーシップの提案は、契約でお互いが得られる見込みを高める

(3)はっきりした目標に向けて直接的に働きかける場合、そのスポンサーシップでお互いが得られる見込みを高める

(4)成功の確率が高まれば、スポンサー契約を結ぶ見込みも高まる

 

<1単位増やすとその分得られるメリット=限界効用>

スポンサーシップ契約とは、いくらでどこまでの権利を含めるかという交換を決めることです。「限界効用」とは、あといくら増やすと、これも入れますということで、保険の契約とか、何かの講座を受ける時の契約とかを想像してもらうとよいかと思います。

スポーツで言うと、例えば、ユニフォームに小さなロゴをつけるというだけのスポンサーシップ契約だと、もっと大きなロゴの企業よりインパクトが弱くなって価値がガクッと落ち、リカバーできませんが、それ以外に、CMの機会を含んだり、試合のチケットを含んだりといろいろ織り込んだ契約にすると、お互い得られるものが大きくなるでしょうというようなことです。従って、教授が働いていた実際の現場では契約を更新する際、どんなにうまくいっているものでも、同じ提案はせず、さらに項目を増やし、もちろん契約料も増やしたそうです。

(5)一つのスポンサーシップの機会で得られる価値は、競合する機会が出てくると減少する

(6)限られた機会への依存は得られるものの飽和や価値の低下につながる

(7)いろいろな交換を織り込むと、スポンサーシップでお互いが得られる見込みが高まる

 

<公平感>

契約する時には、この投資は割に合うのかと、他に比べてよい条件かというのを考えます。それが「公平感」ということです。費用対効果とも言えます。契約を結んだ後、実際にいろいろなものを提供する際、満足してもらえているかをスポンサーサービス部門の人はチェックし続けなくてはなりません。

(8)繰り返し条件を見直していくと、継続中のスポンサーシップでお互いが得られる見込みは高まる

(9)第三の存在がアンブッシュマーケティング(オフィシャルな契約をせずに、便乗して宣伝すること)を行うと、スポンサーシップでお互いが得られるものは減ってしまう

(10)スポンサー関係の双方の力のバランスが取れた方が、お互いが得られる見込みは高まる

 

このことを習った直後に僕が思ったのは、今まで日本のスポーツの現場で見聞きしてきたスポンサーシップって、この上記の条件に当てはまっていないものの方が多いのではないか?ということです。ある企業の社長が、そのスポーツがものすごく好きでお金を出しているとか。「そりゃ~ 長続きせんわ~」と今は思います。みなさんも、うまくいっているもの、うまくいっていなさそうなものの例を頭に思い浮かべながら、上の10個のポイントを見てみると、発見があると思います。

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