人生で初めて、学会というものに参加してきました。
6月2-4日にカナダオンタリオ州ロンドンで行われたNorth American Society for Sports Management Conference (NASSM) という、スポーツマネジメントに関する学会では世界で一番大きいものだそうです。北米だけでなく、英国、オーストラリア、日本を含めた東アジアなどからも参加者がいました。
初めてなので、どんな場なのかと少々緊張していました。しかし、いくつかの教室が用意され、そこで自分が面白そうだと思った研究発表のプレゼンテーション を次々と聞いていって、食事や休みの時間には旧知の人としゃべったり、知り合いを増やしたりするという感じで特に難しいことはありませんでした。
大学院生ならでは貴重な経験、クラスで仲の良い韓国人留学生と一緒にいける、日本の研究者にも数名知り合いがいるので久々に話をしてみたかったなど理由は複合的ですが、一番の理由は「スポーツと社会貢献」という研究テーマの発表がいくつかあることがわかったからです。
僕が数えたところ、「スポーツと社会貢献」をテーマにした発表は、大会全体の178のプレゼンテーションのうち13ありました。そんなに大きな流れとは言えません。独立した分野というよりは、コーズマーケティングやCSRの研究理論などを応用するといった形で研究が行われているように見えました。しかし、流れは来ているのかなと思うことがありました。ことしの学生コンテストで優勝と次点だった研究は、くしくも似たテーマで「スポーツが社会貢献活動に、どのように役に立っているのか」というものでした。ちなみに、優勝者は日本人でした。彼の内容の概要はこちらを参照下さい。
どのように、というのは研究なので細かく要素を分解し、強い関連性のあるものを抽出するという方法で、大雑把に翻訳するのは、はばかられるのですが、敢えて例を挙げるとすれば、チームや選手の知名度、信頼性、イメージなどが役に立っているなどということです。スポーツと社会貢献、というのもいろいろな活動があります。選手個人の知名度を生かした基金、チームとして地域の活動に貢献する、企業のCSRの一部にスポーツ界が協力するなどなど。研究の世界は厳密なので、こうしたものも分けて考えて、選手個人の活動を対象に研究した成果とチーム全体の活動を対象にした研究成果は、安易に一緒にして考えないということです。
同じ時間帯に行われたものもあったので、全部を聞けたわけではありませんが、研究者の共通認識としてあったのが1点ありました。
スポーツが社会貢献に役に立つかどうかに関してはすでに多くの研究がなされている(6月7日修正)というふうに捕らえられています。従って、研究の方向性は、上に書いたように「どのように」というところをより深めることに向かっています。
これを知ることができたのは、個人的には大きな収穫です。加えて、どこの大学にいる、何と言う研究者がやっていて、プレゼンテーションを見てどんな雰囲気の人かもわかりました。継続してウォッチします。
私のブラインドサッカーを通じた仕事もそうですし、このブログの読者には、スポーツと社会貢献に関する活動に現場で汗を流している人もいると思います。スポーツが社会貢献に役立つというのは、あなたの信念に加えて、学術的にも裏づけを行っている人がいる(6月7日修正)というのを知っておくと、ちょっぴり心強くなるのではないでしょうか?
※後日、改めて研究者の方に聞いたところ、「役に立つのはほぼ証明されている」と言うのは、言い過ぎとの指摘を受けましたので、修正します。話全体のトーンが変わるので、削除も検討しましたが、学問の世界はこういう細かい部分へのこだわりが大事だと知ったので、今後の教訓として敢えて残しておきます。別の機会にもう少し突っ込んでみます。