今回の記事は、前回の続きとも言える内容です。
PR、広報担当に求められる基本スキルを挙げておきます。いつも思いますが、アメリカのスポーツマネジメントの教科書は、どれも実践的というか、具体的な話が多いです。日本のは、どちらかというと、概念の説明にページを多く割いている気がします。もっとも出版されている数が全然違っていて、アメリカのほうが幅広いというのがありますが。
広報の仕事と言って、真っ先に思い浮かぶのはニュースリリースを書くことです。ニュースリリースとは、その組織の新しい情報やイベント、声明などを一般向けに説明して書くものです。似た存在として、プレスリリースというのもあります。こちらは、同じ新しい内容をメディア向けに、取り上げてもらえるように書くものです。最近は広報資料など紙だけじゃなくて、ウェブサイト、ブログ、メール、ツイッター、フェイスブックなど様々な方法がありますが、どれも根底にあるのは、書くスキルです。正しい言葉の使い方や、漢字の用法などにも注意しなければなりません。下手だと、「あれっ? 大丈夫か?」と組織全体のイメージにも影響します。個人的には、お客様目線に欠けるというか、書き手側の事情を知らず知らず押し出してしまっているのがNGだと思っています。
広報は、プレゼンテーションをすることはあまりないかもしれませんが、記者会見の司会をしたり、組織を代表して公式な見解を述べたりする仕事があります。また、チームの上層部や監督、選手ら、人前で話す機会が多い人にアドバイスをすることも仕事の範囲に含まれるでしょう。なぜなら、その場に立ち会っていることが多いからです。スキルには、言葉だけでなく、見せ方や振る舞いも含まれます。
広報は印刷物をつくる仕事がたくさんあります。前述のニュースリリースなどのほかに、ポスター、チラシ、メディアガイド、マッチデープログラムなどです。レイアウトやデザインのセンスと、それを実現するコンピューターソフトを扱えるスキルが必要です。インデザイン、フォトショップ、イラストレーターといったソフトウェアの名前は聞いたことがあるかもしれません。インディアナ大学のジャーナリズム学科(広報志望者もここで学ぶのが一般的)では、デザインスキルという科目が開講されており、アメリカでは、これは当たり前のことだそうです。
最近の広報は紙をFAXで送っていた時代は過ぎ、ウェブに頼る部分が増えています。したがって、ソフトウェアをつかってウェブの更新やデザインができることが求められていますウェブでは動画やポッドキャストなども扱います。自分でできれば、それに越したことはありませんが、少なくともウェブの専門家と話がスムーズに共有できるくらいの知識は持っていないといけません。数字もよく扱うので、データベースをうまく使って、ウェブに反映させられることも大事です。これ、若い人にはチャンスかもしれません。広報部門を仕切っているような40代、50代の人でこのスキルがある人はそんなに多くないでしょう。
広報の仕事で、もっとも重要なスキルはこれだと、多くの先人たちが指摘しています。どれだけ、書くスキル、デザインするスキル、コンピューターのスキルがあっても、コミュニケーションスキルがないと、それこそ話になりません。広報の仕事は、情報を集めたり、渡したり、印象をつくることだからです。コンピュータースキルのように一人でコツコツやって身につくものではなく、様々な人、様々な状況を経てこそ鍛えられるスキルなので、習得するのは難しいでしょう。しかし、逆に言うと、このスキルが優れている人は、大きなアドバンテージになるとも言えます。
この話を聞いて、個人的には、(3)と(4)の強化をすぐに進めていこうと決めました。(1)と(5)は、記者時代に鍛えられたと思っています。(2)も嫌いではありません。他は、あまり言葉に関係しないスキルなので、今の留学中の環境でも勝負しやすいです。五角形をイメージして、得意なところを伸ばし、苦手なところを強化するという感じです。
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Sports PR Japan 株式会社 代表取締役
13年間の記者経験と米国留学を経て広報に転身。日本ブラインドサッカー協会で初代広報担当として認知度向上に貢献し、PR会社でのコンサルタント経験も豊富。スポーツビジネスに特化した広報支援を展開し、メディアとクライアントへの深い理解を基に、ブランディング強化や認知度向上をサポート。スポーツ関連団体や企業に対する柔軟な対応で、成長を目指すスポーツ関係者から高く評価されている。