書きたいことはいろいろあったのですが、アメリカ国内を旅行するなど慌しく、3週間ほど更新が滞ってしまいました。すみません。
このブログで随時報告しているように、僕はアメリカの様々なスポーツの現場をこの目で見てきています。その中で、最近ひとつ思ったことを書きます。タイトル通り、たいした話ではなんですが。
留学する前、つまり旅行や取材で回っていた時は、「アメリカのスポーツはやっぱりすごい!」と思うことばかりでした。豪華なスタジアム、眼の肥えた観客、洗練された極上のエンターテインメント、多彩なスポンサーシップなどなど。「やっぱり、10年経っても、日本はアメリカに勝てない」と思ったこともありました。しかし、留学後はそうでもないんです。とりわけ、数をこなしていくほど、「あれ? これって日本のよりしょぼいよね」と思う経験が少なからずあります。
一つ例を挙げると、大会にボランティアに行った時のオペレーションです。どこに何人必要かとか、拘束時間とか、役割分担などがいい加減なことにたびたび出くわしました。ただし、この経験は、インディアナ州レベルで止まっているので、大都市での大規模マラソンのようなものでは、違うかもしれません。日本でボランティアに行ったら、たいていは懇切丁寧なマニュアルやローテーション表があり、見知らぬボランティア同士が短時間で仲良くなれる方法まで考えられてたりします。これは、大雑把と細やかな文化の差という側面もあるでしょう。しかし、もし仮にオリンピックやサッカーのW杯のような大会が来て、彼らの基準でボランティアのオペレーションの評価を受けるとしたら、後者の方が褒められると思います。
また、アメリカにはいろいろなスポーツの博物館、殿堂があるのですが、その中にもしょぼいものがあります。僕が行った中では、ボルティモアにあるラクロスの殿堂、ニューヨークにある陸上の殿堂、インディアナポリスにあるNCAA(全米大学体育協会)の博物館は、かなり残念な内容でした。はっきり言って、入場料分の価値はなかったです(ラクロスは無料でしたが、そこまで行くバス代がもったいなかった)。
ここまでは、例がややマイナーに偏っているので、メジャーな例も一つ。アメリカで、最も人気の高いスポーツ観戦スポットと思われるヤンキースタジアム。たしかにハードウェアは素晴らしいです。豪華絢爛。最新テクノロジーと伝統の融合を感じます。しかし、ソフトウェアはスタッフの数がやたら多いだけで、ホスピタリティーはトップレベルとは程遠いです。何か買うとしても、値段設定を含め、殿様商売の臭いがプンプンして、「やっぱり、すごい」とは到底思えませんでした。
どうして、アメリカのスポーツはすごいと思っていたのか、と考えてみました。一つは、僕の先入観です。最初に「やっぱりすごい」と書いたように、日本よりすごい部分しか見ようとしていなかったのだと思います。もう一つの理由は、他人のガイドや評価に従っていたことです。アメリカスポーツを紹介した書籍、旅行用のガイドブック、会社がつくったホームページなどが主な情報源でした。今でこそ、個人がブログで様々な観戦記を書くようになり、読めるようになりましたが、僕が興味を持ち始めた1990年代後半など、ホームページがやっと一般的になってきた頃で、個人で情報発信するようなイメージはなかったです。そうなると、アメリカに日本人を連れて行くことや、日本でアメリカのスポーツに関するものに触れてもらうことを商売としている人の情報ばかりに触れていたんだと思います。それで、「すごい」と強調されていたんでしょうね。取り分け、そうした情報はすでに日本人目線でふるいに掛けられた情報と伝え方になっているはずです。
旅行や出張ではなく、スポーツに関する留学という形でアメリカで生活をし、地元の人の声に触れ、一緒になって働くと、一段深いところまで見ることができます。旅行では行くことのないであろうブルーミントンのような場所で生活したこともこう考えるとよい選択でした。「ピンからキリまで」経験できるのが、留学の財産の一つになると確信しています。スポーツ界に限らず、アメリカはこの「ピンからキリまで」の差が日本に比べてはるかに大きい国ですので、上澄みだけ見て、わかったような気になるのはとても怖い。例えば、一泊5万円のホテルにしか泊まっていないのと、ユースホステルにばかり泊まり続けていたら、同じく国でも違う印象になるでしょう。そういう感じです。
これを防ぐには (1)そこまでやるか、というくらい数を追求する (2)他人のフィルターを通ったガイドやアドバイスを求めず、自分の感性の赴くままに自力で行ってみる ということでしょうかね。
今回の内容は、もちろん、個人の感想に過ぎません。ただ、感性の赴くままに2年間でおよそ70回ほどアメリカのスポーツの現場に足を運んでモノを言っているということは伝えておきます。
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スポーツPRプランナー ®
Sports PR Japan 株式会社 代表取締役
13年間の記者経験と米国留学を経て広報に転身。日本ブラインドサッカー協会で初代広報担当として認知度向上に貢献し、PR会社でのコンサルタント経験も豊富。スポーツビジネスに特化した広報支援を展開し、メディアとクライアントへの深い理解を基に、ブランディング強化や認知度向上をサポート。スポーツ関連団体や企業に対する柔軟な対応で、成長を目指すスポーツ関係者から高く評価されている。