AKB48総選挙に便乗したようなタイトルで、すみません。それにインスパイアされたわけではないのですが、モヤッと考えていたことがまとまってきたので書きます。
最近、ある方からこんな質問をされました。
「日本はこれから少子化が進んで、サッカーのファンも減少することが予想されて、経営が厳しくなると思います。どうすればいいと思いますか?」
人口は減っていくにも関わらず、余暇の過ごし方や、観戦するスポーツだけを考えても選択肢は増える一方です。人口も、選択肢も、どちらの流れも変えることはほぼ不可能でしょう。先に言ってしまいますが、僕の考えは「限られた人たちと濃いお付き合いをして、客単価を上げる」です。
しかし、最近の日本のスポーツの現場で見られるトレンドは、他の分野に興味のある人をスポーツに取り込もうという流れのように感じます。例えば、女性ファンを増やそうと、女性向けのマーケティングで実績のある人をPR担当として雇うケースなどを聞いたことがあります。最近のスポーツニュースにも、芸人さんとのコラボレーションの話が出てましたね。子供たちに人気のヒーローものを呼ぶといったものもありますね。
ただし、そうしたプロモーション企画を見る時に、時々、気になる点があります。「それって、スポーツが横に置かれてませんか?」と。全部ではありませんが、スポーツと関係ないものを取ってつけたような企画だと感じるものがあります。
たくさんの娯楽の選択肢の中から、観客がわざわざスタジアムに足を運ぶ理由は、そのスポーツの会場ならではの特別な経験がしたいから、というのがメインの理由だと思います(中には、友達に連れられて仕方なく、と言ったケースもあるかもしれませんが)。思い切って言ってしまうと、スタジアムで売っている食べ物がおいしいと言ったようなことは、おまけです。試合の緊張感、ホームランや得点が入った時の興奮、誰が見ても一目ですごいとわかるプレー、この選手は何かやってくれそうだという期待感、そして、そうした気持ちをたくさんの人と共有することが、スタジアムに行くという体験を特別なものにしているのだと、何千もの試合を見てきた僕自身も実感しています。以前に、このブログでも書きましたが、NBAダラス・マベリックスのオーナーも、「場内に入ると、エネルギーを感じるだろう。それが、アリーナで試合を見るということを特別なものにしているんだ」と、自らのスポーツビジネスのこだわりを表現していました。
日本でも、チャンスになると、スクリーンに大きな手が出て、観客に手拍子をうながす、というような演出がありますね。これで、その競技がよくわからなかった子供が、これは大事な場面なんだとわかるでしょう。一緒に手をたたくことで、一体感を味わえるでしょう。それは、スポーツの未来につながります。地味かもしれませんが、こういうのが大事だと思います。(経営的にもコストが抑えられて良いです)
僕自身はスポーツと他の分野が入り混じることには賛成の立場を取っています。このブログのサブタイトルも「スポーツ界とその他の分野の交わりを考える」というようなものにしていたくらいです。ただ、スポーツイベントの場でやる企画は、あくまでスポーツをセンターに据えるべきです。それが置き忘れられている流れは怖いです。大事なものを見失い、結局、他にお客さんを取られてしまったら、本当に自滅だと思います。
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Sports PR Japan 株式会社 代表取締役
13年間の記者経験と米国留学を経て広報に転身。日本ブラインドサッカー協会で初代広報担当として認知度向上に貢献し、PR会社でのコンサルタント経験も豊富。スポーツビジネスに特化した広報支援を展開し、メディアとクライアントへの深い理解を基に、ブランディング強化や認知度向上をサポート。スポーツ関連団体や企業に対する柔軟な対応で、成長を目指すスポーツ関係者から高く評価されている。