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認知と行動の間

13.10.26

このところ、硬めのタイトルが続いています。でも、そういうテーマを真剣に掘り下げて考えているので、避けられません。

スポーツの現場に携わっている人の多くが、もっと多くの人に来場してもらいたいと考えています。観客動員を増やせれば、収入が増えて投資ができるようになり、さらに人気が拡大し、多くの人の目に触れるのでスポンサー額を上げられるなど、好循環が始まります。

その好循環は、まず「認知」してもらうことから始まります。チラシを配ったり、パスターを街に張ったり、他の分野で言うと、テレビの新商品コマーシャルなどをイメージしてもらえるとわかりやすいでしょう。人々が「ああ、それなら聞いたことあるよ」というところまで持って行くこと、それが「認知」です。

しかし、それだけだと、チームや団体にはまだ直接的な影響はありません。知っているだけで、お金を払ってもらえるわけでもないし、会場に来てくれるわけでもありません。何の働きかけも来ていない状態です。そこから先のステップ、「行動」に移してもらうには、どうすればいいのかを、ここ数ヶ月間、考えてきました。「認知」と「行動」の間に何があればいいのか、ということです。

僕が携わっているブラインドサッカーの現場でも、このことが問題です。10年を超える広報活動の蓄積、また、テレビのニュースや特集、全国紙など見ている人が桁違いに多いマスメディアに取り上げていただいたこともあり、「認知」はかなり上がってきました。調査でも数字が上がっています。僕個人も、初めて会った人にブラインドサッカーに携わっているというと、「音の鳴るボールを使うのですよね」とか、「子どもの学校で体験会があったと聞きました」とか聞くことが如実に増えてきました。しかし、観戦やボランティアの形で現場に来ていただける方、寄付、グッズの購入などお金を出してくれる方など「行動」に移してくれる人はまだまだ少ないです。

そこで現場にいながら、つぶさに観察したり、聞き取りをしたりすることで、どうすれば、「認知」と「行動」の間が埋まるのかを考え続けました。他のスポーツの現場にも足を運んで、比較検討することも続けました。

 

結論は、

相手が求めているであろう情報をより多く伝えること、になりました。

 

試合を見てもらうなら、選手やチーム、試合の見方などの情報を。ボランティアに来てもらうには、仕事の内容や経験者の感想などの情報を。寄付をしてもらうには、なぜそのお金が必要なのかという情報を伝えることです。

現場に来てくれた人から「ツイッターで知って、そこから検索して動画やサイトの記事を見ました」とか「○○でやっていた体験会をたまたま見て、やってみたいと思っていて、スケジュールを調べました」などという話を聞きました。ボランティアに繰り返して来てくれる方は、どうしてなのかも聞き、その人たちは現場で何に喜びを感じているのかも観察しました。試合を見ながら、他の観戦者の声もさりげなく聞いていました。次第に「認知」からより多くの情報を得た方が「行動」に移っていると気づいたわけです。もちろん一度現場に来てくれたら、今度は五感をフルに使って双方向でコミュニケーションできるわけですから、非常に多くの情報が伝えられます。それがさらなる「行動」につながります。

 

言われてみれば、別にどうってことのない話かもしれません。しかし、セミナーで聞いたり、本で読んだりして知るのと、実践の中で自分で考え続けてたどり着いたことは自分の中ではかなり違います。この納得感とスッキリ感の中で、ここから手を打ち続けます。

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この記事の執筆者

早川 忠宏

早川 忠宏 | Tadahiro HAYAKAWA

スポーツPRプランナー ®
Sports PR Japan 株式会社 代表取締役

13年間の記者経験と米国留学を経て広報に転身。日本ブラインドサッカー協会で初代広報担当として認知度向上に貢献し、PR会社でのコンサルタント経験も豊富。スポーツビジネスに特化した広報支援を展開し、メディアとクライアントへの深い理解を基に、ブランディング強化や認知度向上をサポート。スポーツ関連団体や企業に対する柔軟な対応で、成長を目指すスポーツ関係者から高く評価されている。

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