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スポーツビジネス論文を実践に生かすには

20.8.11

スポーツビジネスに携わっている方々は、情報源としてどんなものを使っていますか?

お手軽なのは、スポーツビジネスに関するニュースを掲載するウェブサイトを追うこと。また、noteに掲載されているブログでもそうした内容が増えてきていると感じます。FacebookやTwitterでお勧めの記事を見ているという方もいるでしょう。

ただ、あまりにも多すぎて、しんどくなりませんか? スポーツビジネスと分野を絞ってもオンライン上の情報は多すぎて、この分野でがっつり仕事をしている私でも、全部の情報はフォローすることを諦めています。まさに、佐藤尚之氏の言う「情報砂の一粒時代」と実感する日々です。

質の高い情報をキュレーションしてくれる存在

となると、質の高い情報をキュレーションしてくれる存在の助けを借りたくなります。私は、その一つとして、スポーツビジネスの論文や研究者をソースとしています。2010年から約2年間、アメリカの大学院でスポーツビジネスを学んでから、これは実践に生かせるはずだと思うようになりました。根拠のある打ち手をいかに見出すかが、大学院での教育の主眼でした。

 

なぜ助けになるかというと、

①論文(研究発表)には必ず根拠がある

②論文は他の研究者のチェックを受けている

③論文には過去の研究では明らかにされていない新しい内容がある

の3つではないかと考えています。

実践する上で、何かがうまくいくようになるスキルを学ぶには、他の人の個人の経験も大いに参考になります。まねするだけで、うまくいくこともあります。しかし、まだ誰もやっていないことや新しいものを自ら生み出そうとする時には、考える土台や枠組みがあると助かります。それに論文や研究が参考になります。

現状を整理するための分類の枠組みを論文から教わる

私の場合には、例えば、現状を整理するための分類の枠組みを論文から教わりました。
どんな投稿だとフォロワー数が増えるのかと思い、スポーツに関するTwitterの投稿の中身の分類してみたくなったとしましょう。そうすると、私が留学時代にお世話になった教授がすでにつくっています。この論文を読んだ時に実践に役立つなと思って、ブログの記事に書きました。

それから大規模な調査に基づく分析も、大いに助けになります。Jリーグは毎年、各地の研究者と連携して観戦者の調査を行っています。サマリーレポートはこちら
こういうのを見ると、サッカー(ある競技)はどう思われているのかや観戦する理由など様々なことがわかります。さらに言うと、他の競技やスポーツ関連サービスでお客様の調査をしようと考えた時に、どんな質問をするとよいのか、など調査の設計も参考になります。

スポーツビジネスで参考にしやすい学術系のサイト

そこで、私は国内だと、
日本スポーツマネジメント学会
日本スポーツ産業学会
のHPを見たり、主催のイベントに参加して、発表の中からヒントを得るようにしています。単発の有料セミナーの案内も出ますし、最新の調査結果を出してくれることもあります。会員になれば、それぞれが発行している学術誌を読むこともできます。

海外の学会ではNASSM(North America society for Sports Management)が最も知られています。こちらが発行している、Journal of Sport Managementは、論文のレベルが非常に高いとアメリカで知りました。日本の研究者で参加されている方も多くいます。

それから論文を検索するサイトもあります。馴染みのある、GoogleもGoogle scholarという学術文献に絞った検索システムを公開しています。アメリカ留学時代にこのサイトの存在を知りましたが、当時は本当に助けられました。使い慣れた入力の仕組みで、欲しい情報に近づく可能性が高いです。また、どれだけ多く引用されているかが、その論文の価値を示すのですが、それがわかりやすく見えるようになっています。自分がスポーツビジネスの中で特に深めたい分野の著名な教授は誰なのか、ということも結果的にわかります。

また、日本語の論文を探すことに特化しているものでは、Ci Niiというサイトもあります。こちらだと論文が掲載されている冊子がどこの図書館に所蔵されているのかも見ることができます。

研究の世界では、本当にその調査分析方法は有効なのかという精度を気にされるのですが、実践に使う場合は、あくまで考える上でのヒントになれば十分。なので、肩ひじ張らず、テーマを持って論文や研究を探すと、「もうこんなところまでわかっているんだ」という発見があると思います。

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この記事の執筆者

早川 忠宏

早川 忠宏 | Tadahiro HAYAKAWA

スポーツPRプランナー ®
Sports PR Japan 株式会社 代表取締役

13年間の記者経験と米国留学を経て広報に転身。日本ブラインドサッカー協会で初代広報担当として認知度向上に貢献し、PR会社でのコンサルタント経験も豊富。スポーツビジネスに特化した広報支援を展開し、メディアとクライアントへの深い理解を基に、ブランディング強化や認知度向上をサポート。スポーツ関連団体や企業に対する柔軟な対応で、成長を目指すスポーツ関係者から高く評価されている。

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