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こんにちは。
スポーツPRプランナーの早川です。

あるテレビ局がレギュラー放送している「スポーツ×ヒューマン」という番組を、たまに見る時があります。「取材に時間と手間をかけてるな」と感じることが多く、「最近こういうの減ったな。いい番組だな」と、思います。中身は申し分ないのですが、このタイトルだけが、ずっと前から気になっています。

スポーツとヒューマンを結ぶところが、掛け算になっていますよね。しかし、番組を見ている限りでは、掛け算になっているとは思えないんです。スポーツが織りなす人間ドラマを描いている、つまり、スポーツのドキュメンタリーの中でヒューマンの部分を強調して制作している、と言う話です。これは掛け算なのでしょうか。

 

そういえば、スポーツの仕事をされている方だと、この番組のタイトル以外にも、「スポーツ×○○」という表現を、わりとよく目にするのではないでしょうか。ひょっとしたら、自分のプレゼン資料に書いたこともあるのではないでしょうか。

私がこれまでいろいろと見てきた「スポーツ×○○」の中で、「これは違うんじゃないか」と、気づいてしまったパターンが二つあります。

一つは、「スポーツ×シニア」のような形です。
これは多くの場合、あるスポーツをシニア向けに少し改良してやってもらってます、という話です。「シニア」は対象であるにすぎません。シニア以外にも、「女性」、「小学生」、「外国人」なども同じ形です。

もう一つは、「スポーツ×IT」のような形です。
これは多くの場合、あるスポーツチームが、あるIT企業が開発した便利なソフトウェアを使っています、という話です。今度は逆に、スポーツ側が対象になっています。スポーツの側が単にお世話になっているだけで、スポーツじゃなくて他の業界でも良いような気もします。「スポーツ×SDGs」も、スポーツ業界におけるSGDsの例を紹介している時に使われたりしていますが、これも対象がスポーツという話です。

私が疑問に感じていることが、ちょっと見えてきたでしょうか。
もう少しわかりやすく説明するために、「これは、いいんじゃないか」と私が思っている例も挙げます。

「スポーツ×食品」のような形です。
これは、スポーツチームと食品会社が協力して、新しいメニューや新しい食品を開発・販売するという話で使われたりしています。この場合、スポーツの側も選手が試食して改善案を伝えるなど、開発に携わっています。開発した食品をそのチームのファン向けに販売する販路を持っているとか、地元の学校や地元メディアとの繋がりで、その食品の認知を広めることができるといった強みを提供しています。

 

「スポーツ×○○」は本来、それぞれの強みを出し合い、お互いを使って、新しいモノやコトを生み出すということを意味しています。つまり、相乗効果を狙っている取り組みです。
スポーツ側がもっと広めたいと一方的な思いで動いていたり、逆に、スポーツではない企業の側が新たな販路開拓のような気持ちで動いているというのは、我田引水であって、相乗効果ではありません。

相乗効果なのかを、確かめられる方法は意外と簡単です。「スポーツ×○○」にきちんとなっている場合は、それぞれの側が、どんな強みを提供しているのかを箇条書きにできます。そして、その一つ一つの強みをどのように使っているのかも明記できます。

 

「スポーツ×○○」という表現が間違っている、と指摘したいのではないのです。パクっている、安易な表現に逃げていることが気になります。なぜなら、それは、自分たちの取り組みを深く考えていないことの表れだからです。

小学生の時に習いましたよね。掛け算は1より小さい数をかけると、元の数字よりも小さくなってしまいます。「スポーツ×○○」を使いたくなったら、自分たちの側が1以上のモノやコトを提供している取り組みなのかと、今一度確かめてみましょう。

愚直な実践は続きます。

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この記事の執筆者

早川 忠宏

早川 忠宏 | Tadahiro HAYAKAWA

スポーツPRプランナー ®
Sports PR Japan 株式会社 代表取締役

13年間の記者経験と米国留学を経て広報に転身。日本ブラインドサッカー協会で初代広報担当として認知度向上に貢献し、PR会社でのコンサルタント経験も豊富。スポーツビジネスに特化した広報支援を展開し、メディアとクライアントへの深い理解を基に、ブランディング強化や認知度向上をサポート。スポーツ関連団体や企業に対する柔軟な対応で、成長を目指すスポーツ関係者から高く評価されている。

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