ラグビーワールドカップが、大いに盛り上がっています。
日本各地で、海外から観戦に訪れている外国人を多く目にしていると思います。試合のある日は、ユニフォームやチームカラーを身に着けている人が多いので、どこの国の試合なのか、すぐにわかるくらい。
僕もいくつかの会場に行きましたが、開催地やキャンプ地では、おもてなしもいろいろと行われています。そこで気づいたことと、「外国人観光客」として海外にスポーツ観戦に何百試合と行っている経験から、海外からスポーツ観戦に訪れる人をどう迎えたらいいのか、書いておきたいと思います。
まず、大前提として、スポーツ観戦のために訪れる人は、受け入れる土地の人にとっては、来るお客さんを選べない状況になります。ここが、一般的な外国人観光客誘致とは、決定的に違います。通常、外国人観光客誘致の情報発信をするには、グルメ好きの人とか、写真を撮りたい人とか、アニメ好きの人のように、ターゲットを選べます。例えば、地元においしいものがあるのなら、それを前面に押し出すスタイルをとることが多いでしょう。
今回のワールドカップで感じたのは、その違和感です。
来ているのは、高い旅費をかけてわざわざ日本まで来て、ラグビーを見ようという人です。他の観光は、あくまで「ついで」に過ぎません。
問われるのは、そのスポーツ好きの人に響くことをやっているかどうかです。地元のお祭りを見せることが、うちわを配ることが、本当にスポーツ好きの人の心に響くことなのかは、一度考えてみましょう。
まず、書いておきたいことは、観戦者は、観戦スケジュールに合わせて旅行予定、タイムスケジュールを組んでいるということです。
たいがいは、試合開始よりかなり前に会場に到着して、どんなスタジアムか見たい。しかし、かなり長い時間があるので、会場に到着してから試合開始までの間に「見られるもの」があると嬉しいです。例えば、小さいミュージアムがあったり、スポーツにちなんだ銅像や記念碑、過去に行われた試合の記念品が飾られたりしていると、確実に読み込んだり、写真を撮ります。その場所のスポーツ文化を学べることは、喜ばしいことです。
逆に、試合前でテンションが上がっているのに、スポーツに全く関係のないものを見させられても困ります。
あと、試合を集中してみるために先に腹ごしらえをすることも多いので、飲食ブースがあることは助かります。が、意外と欠けているのが食べる場所です。いきなりスタンドに座りたいのではないのです、野球を除くと、グラウンドで試合前の練習が始まるのは、1時間前くらいからなので、それまでは、通路や外にいます。おしゃべりをしながら食べれるよう、テーブルと椅子があると非常に嬉しい。試合が始まる前から立ちっぱなしで疲れるのは嫌です。
私はお酒は飲みませんが、試合が終わった後、試合について語るために飲みに行きたいというファンも多いです。だから、会場から歩いて行ける範囲の飲み屋の情報があるとありがたい。スポーツに縁がある飲食店だとそこを優先的に入ってしまいます。例えば、大きなスクリーンで観戦しながら飲んだり食べたりできるところ。スポーツバーですね。それから元選手が経営しているお店、ファンの方がよく集まっているお店は、ローカルなスポーツ文化を感じられて嬉しいです。レプリカのユニフォームが飾ってあったりすると、さらに嬉しいです。選手のサインがいっぱい飾ってあるお店は、ちょっと違います。
試合時間に合わせて、毎日ハードな移動することも、私のようなスポーツ観戦者は全く躊躇しません。1泊しかしないで次の都市に移動というのは、よくやっています。となると、必ずと言っていいほど通る場所は、駅、空港、バスターミナルのような交通のポイントとなる場所になります。ここに何か開催中のスポーツを感じられるものがさらにあると嬉しいです。写真とか用具とか。お花を飾ってあるにしても、スポーツが感じられる形になっていると写真を撮りたくなります。とってつけたような名産品(ボール型のパンとか)が売っているのは、引きます。
では、試合のない日に何をしているかです。僕の場合は、スタジアムツアーに参加したり、スポーツ博物館に行ったり、グッズを買いに行ったり、スポーツブランド店に行ったりと、何らかの形でスポーツに関係することを優先的にやっています。スポーツに縁のある人物の紹介や、街の発展にスポーツがどう関わってきたかなど、知的に刺激を受けると、その土地のスポーツについて学ぶことがあると、行った甲斐があったなと感じます。もちろん後から書物で読むこともできるのですが、入り方が違います。
敢えて、スポーツに関係ないことをするとしたら、時間に関係なく見られるものがありがたいです。なぜなら、先に書いた通り、試合のスケジュールに合わせて移動をしなくてはいけないからです。僕の場合は、美術館を訪れることがあります。時間に関係なく見られること、時間がなくなったら駆け足で出てもいいですし、逆に余裕があればゆっくり見ることもできます。座る場所もあります。
あと、公園も好きです。こちらも時間に関係なく見られますし、時には、地元の子供たちがスポーツを楽しんでいる様子を目にすることもあるからです。南米のチリでサッカーを楽しむ子供達を見たり、インドでクリケットを楽しむ青年たちが多くいることを目の当たりにした光景は記憶に残っています。
これらはあくまで僕個人の例でして、もちろん違うスタイルが好きな人はいます。スポーツに関係のない日本文化を見せられても、いやな顔はしないと思います。でも、本当に望んでいる「おもてなし」は、そういうものではないような気がします。
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スポーツPRプランナー ®
Sports PR Japan 株式会社 代表取締役
13年間の記者経験と米国留学を経て広報に転身。日本ブラインドサッカー協会で初代広報担当として認知度向上に貢献し、PR会社でのコンサルタント経験も豊富。スポーツビジネスに特化した広報支援を展開し、メディアとクライアントへの深い理解を基に、ブランディング強化や認知度向上をサポート。スポーツ関連団体や企業に対する柔軟な対応で、成長を目指すスポーツ関係者から高く評価されている。