新学期の始まりとともに大学フットボールシーズンが開幕し、インディアナ大学も10日にホーム開幕戦が行われました。
フットボールの試合は、この人口7万人の町ブルーミントンの最大のイベントです。スタジアムは約5万3000人を収容し、試合前から周囲はバーベキューなどを楽しむ人々でにぎわっています。これはスポーツにとどまらず、文化とも言えます。その雰囲気をビジネススクールなどに新しく来た日本人の大学院生とその家族に味わってもらいたい、そして、せっかくアメリカで生活しているので、最も人気のあるスポーツについて少しでも知ってもらいたい、と思って「初心者向け観戦会」と名づけてイベントを開きました。予想以上の盛況で、小さい子も含めて19人も集まりました。
去年は、こんな大規模ではなく、日本人の友人の家族数人と一緒に見に行ったりしていたのですが、僕が不慣れで、あまりうまく説明できませんでした。フットボール初心者と言っても、スポーツ全般的に明るくない人、サッカーの大ファン、ラグビーを知っている人など背景がいろいろあり、説明のしかたはそれぞれ少し変えた方が親切です。そういうこともわかっていませんでした。その結果、「ハーフタイムショーが一番面白かった」などと言われたこともありました。元プロの記者でもあり、スポーツの面白さを伝えきれない自分は絶対に許せず、自分が関わったのにファンになってもらえなかったのは非常に悔しかったのです。なので、「どうすれば、フットボールを初心者にもわかりやすく伝えられるか」というテーマを、少々大げさに言えば、一年かけて練り上げてきました。
人数も多かったですし、試合は流れていくものなので、全部を口頭で説明するのは難しいです。なので、事前に配布資料を用意しました。作成のポイントは、
(1)できるだけ情報量を削る
(2)専門用語をなるべく使わない
の2点です。
20競技ぐらい取材したことがある経験からすると、フットボールはスポーツ全体の中でも屈指の複雑なルールを持っていると思います。そして、初心者は「楽しみたい」というのが目的であって、「すべてを理解したい」というのが目的ではないはずです。「アメリカンフットボール ルール」とグーグルで検索すると、いくつかのサイトでは、いきなり一行目から、「試合はクオーター制で」とか「ポジションにはQBとWRとRBと…」とか「タッチダウンとは」みたいなことが書いてありますが、これでは敷居が高すぎます。
考えに考えて、「フットボールとは要するにどういうスポーツか」をはじめにもって来ました。
○お相撲さんのような体なのに、ものすごく速く動ける選手たちが
○11人いて
○一生懸命、頭も使って
○ボールを前進させていく(相手はそれを止める)ゲーム
と4点に絞りました。
なるべく短く、しかし過不足なく、わかりやすく表現するこの言葉を磨き上げるのに、実は数ヶ月がかかっています。どうして思いつくのかというのを伝えることは難しく、言葉選びのセンスと、どうしてもわかったもらいたいという執念としか言えません。
以下に、自分がつくった資料の画像を添付しておきます。話が長くなりそうなので、連載企画にさせていただきます。
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Sports PR Japan 株式会社 代表取締役
13年間の記者経験と米国留学を経て広報に転身。日本ブラインドサッカー協会で初代広報担当として認知度向上に貢献し、PR会社でのコンサルタント経験も豊富。スポーツビジネスに特化した広報支援を展開し、メディアとクライアントへの深い理解を基に、ブランディング強化や認知度向上をサポート。スポーツ関連団体や企業に対する柔軟な対応で、成長を目指すスポーツ関係者から高く評価されている。