先週は独立記念日の連休を利用して少し遠出し、卓球のUS OPENを視察してきました。元卓球記者はいまだ関心が衰えず、アメリカの卓球事情を知りたいと思っていたのですが、学内では遊びでやっている人しか見かけないので、なかなか機会がなく、ようやくと言ったところです。取材でお世話になっていた日本リーグの監督や選手に再会したいというのも、隣の隣の州にあるミルウォーキーまで出かけた理由です。

日本選手も含め、世界のトップクラスは出場していませんでしたが、国際大会と、一般参加の大会と、車椅子などパラ競技の大会をひとつの場所で開催するという、なかなか興味深い大会でした。会場は体育館ではなく、街の中心地にあるコンベンションセンター(日本で言うと、東京ビッグサイトや幕張メッセのような施設)で、ひとつのスペースに100台ほどの卓球台が並べられていて、それは壮観でした。

アメリカでは年代別のほかに男女混合のランキングポイント別の種目があることを初めて知りました。小学校低学年の女の子と長身のおじさんが対戦していたりして、絵的にインパクトがありました。卓球らしい光景です。選手たちはそこらへんで休んでいたので聞いてみると、ポイントは実力をほぼ反映しているそうで、戦型などで相性はあるけれど、だいたい拮抗した試合になって面白いのだとか。言われてみれば、単純に年齢で線を引くのって、体力差はあっても、技術とは関係ないですよね。実力の均衡はスポーツを面白くする要素のひとつです。ドラフトがよくその例で挙げられますが、個人レベルで当てはめるのは今回初めて見たかもしれません。

障害者卓球は初めて見ました。今回は肢体不自由のみの開催でしたが、車椅子の選手のショットの正確さは目を引きました。立ってプレーする(立位)選手の中には、片足がなく松葉杖をつきながらのプレーながら健常者の選手とほとんど変わらないボールを打つアメリカの選手もいました。それぞれ違う障害を持っている選手同士がベンチコーチに入ってアドバイスをしているのが印象に残りました。

会場の設定で気になる点がひとつ。会場の真ん中を分けるスペースにはスポンサーのブースが並んでいました。正面入り口からまっすぐの最も人通りの多いところです。用具の試し打ちなどのために卓球台もいくつか設置されていました。しかし、そのブースの間が狭く、松葉杖や車椅子の人が通りにくく、迂回する必要があったのです。言い換えると、スポンサーコーナーがパラ競技をやっている場所と、一番レベルの高い国際試合をやっている場所を隔てる大きな壁のようになってしまっていたのです。他にも、支柱の周りで通路が狭すぎる場所もありました。会場自体は広いスペースがあるので、少しの配慮でもっとスムーズに動けるようにできたはずです。せっかく同じ会場でやっているのですから、お互いに観戦すればいろいろと学ぶこともあるでしょう。

試合を見ている途中で、一人のおじいさんに話しかけられました。「韓国の昔の名選手だった○○というのは今回来ているのかな? 3年前には会ったんだけど」。「僕は日本人なのですが」と言いつつ聞くと、1960年代に米国代表としてUS OPENでプレーしたことがある方だとか。「会場が広くて、人を探すのが大変なんだ」と言っていました。競技暦8年という75歳以上の部に出ていたおばあちゃんとも少し話をしました。「今回初めて1ゲーム取れたのよ」と嬉しそうです。この種目は参加者が少なく、毎年顔を合わせるを楽しみにしている仲間がいるそうです。僕個人も日本の監督、選手と再会し、ひさびさに卓球のディープな話をして、楽しい時間を過ごしました。

大会というくらいですから、こうした会場はたくさんの出会いと交流がある場です。主催者目線なら、それを促す仕掛けをつくることを常に意識すべきだなあと感じました。先に書いた通路の配慮のほかにも、たとえば、人の往来が激しいところの近くに、いすとテーブルを置いてラウンジをつくり、偶然知り合いに会える可能性を高めるとか。昔を懐かしむ人が自然と集まれるように、過去の名場面のミニ写真展コーナーをつくるとか。100台の卓球台を並べるのも斬新ですが、会場づくりというのは、工夫の余地がたくさんあり、奥が深いと感じました。