前回の続きで、どうやって、フットボール初心者向け資料をつくったのかを書きます。

(1)にも書きましたが、初心者は「楽しみたい」というのが目的であって、そのためにはすべてのルールを理解する必要はないと僕は考えます。なので、削れるだけ削って、初心者にもとっつきやすく、一番面白いと思ってもらえる部分は何かを考え続けました。ヒントは、昨シーズン、試合を見ていた時の子どもたちの様子にありました。

インディアナ大学のフットボールの試合では、タッチダウンが決まった後や、ファーストダウンを獲得した時に(意味がわからない人は上の画像を開いてみて下さい)、ブラスバンドの演奏とともにスタンドのみんなで決まった簡単なダンスをするのです。

幼稚園や小学校低学年くらいの子供たちはフットボールのルールはよくわかっていないと思いますが、このダンスはキャッキャととても楽しそうにやっている光景を目にしていました。大人であっても、これが最も初心者にとっつきやすいことだろう、そして楽しめることだろうと考えました。

また、スポーツマネジメントの一部として学んだこともそれを裏付けています。このブログでも「スポーツに関わる動機って?」で書きました。8つの動機のうちのひとつに、「帰属意識」というのがあります。同じシーンを見た数万人が一斉に同じダンスをするというのは、この帰属意識を大いに感じさせる行為です。

では、このダンスに加わって楽しむためには、ルールの中で何がわかっていないといけないのか、と逆から考えたのです。だから、どうしてもひとつ覚えてほしいルールというのは、「ファーストダウン」になります。「ファーストダウン」を繰り返していって、その先に「タッチダウン」という得点がありますと。

また、敵が攻撃している時の3回目(サードダウン)で、場内アナウンスで、「Make Noise!」(騒げ!)という合図が出て、観客は手をたたいたり、大声を出したりしてかなりの音量になります。これはスタンドも一体になって相手のじゃまをしているのですが、「ファーストダウン」のルールがわかっていないと、すごい疎外感を味わってしまいます。

ポジションや攻撃方法などより、このあたりを理解してもらて、参加意識を高めることを優先しました。当日の参加者のみなさんの表情や反応を見ている限り、この方向性は間違っていなかったと感じています。

帰属意識を高めることに関してもう一つ仕掛るために、事前に参加者のみなさんには、インディアナ大学のチームカラーであるえんじ色の服を着てくるようにお願いしました。スタジアムに来ている大多数の観客はそのカラーを身にまとっていて、通路を抜けてスタンドに入った瞬間、えんじ色一色に染まったスタンドがインパクトのあるビジュアルとして、目に飛び込んでくるのです。そのシーンと帰属意識が鮮明な記憶として残るでしょう。

 

資料にはおまけのクイズもつけました。スポーツそのものの話題というのはルールがわかっていないと難しいですが、スポーツに関連した他の話題なら、ルールがわからなくても関心を持ってもらえます。アメリカの大学スポーツの仕組みなどを絡めて説明したかったのです。初心者にもわかりやすく特に効果があるのは、お金にまつわる話です。お金に関わらないで生活している人はまずいません。監督の年俸とか、チームの予算、スタジアムの建設費のような数字は予習しておきます。

次回の(3)では、試合中にどんな質問を聞かれたのかを書きます。昨日のPV数などうを見る限り、あまり人気のないシリーズなのかもしれませんが、めげません。自分と同じように、多少フットボールを理解していて、ファンの人を増やしたいと思っている方に参考にしてもらいたいので。