1月にMLBのミルウォーキー・ブリュワーズのファン感謝デーにいって、その緻密なコミュニケーション戦略に感動したあまり、ブログ記事を1本(「ファンをひとくくりにしない」)書きました。今回は、その続きの話という感じになります。若干恥ずかしい話でもあるのですが、まあ、そこを思い切って公開することにしました。

日本から青木宣親外野手の入団が決まったので、チームに対して、日本人ファンを増やすような仕事をしたいという手紙と履歴書を送りました。ファン感謝デーに行くよりも随分前だったのですが、このほど、チームからわざわざ葉書を頂きました。こんなの初めてです。

履歴書はこれまで何十通も送っていますが、90%くらいは何の音沙汰もなし。「ほかによい人がいました」、とか、「経歴を拝見しましたが、今は募集していません」、というような返事がメールで来れば、「まともに相手をしてもらっているな」と思えるほど。それが、ブリュワーズの場合は、郵送料32セントと、葉書の印刷代を負担して、わざわざ返事をくれたのです。文面は印刷されたものですが、内容は、評価ではなく、「働く用意があるということを伝えてくれてありがとうございました。確かに受け取りました。必要な時が来たら、こちらからインタビューのスケジュールを設定するということを必ず覚えておいてください」と言ったことが書いてありました。もちろん、これが「お断り」に限りなく近いものであることは十分に承知していますが、それでも、わざわざ葉書を書くという手間と、言葉の選び方に、非常に配慮を感じました。返事が来るのが随分遅いじゃないか、という人もいるかもしれませんが、アメリカの事務手続きは一般的に日本よりはるかに遅いので、僕は許容範囲だと感じています。ファン感謝デーでの好印象があったから、その「ハロー効果」ではないか、とも考えられますが、いずれにしても、ブリュワーズは僕が印象を悪くするようなコミュニケーションのミスを犯していないと思います。

 

もう少し客観的な話をします。就職希望者というのは、チームにとって一つのステークスホルダー(関わりのある人)と考えているのかどうかが、その扱いに表れていると思うのです。就職希望者は直接、お金を払ってくれるわけではありませんが、「働きたい」というのは1試合のチケットを数十ドルで買うとか、Tシャツを買うということよりも、もっと深くチームとコミットしたい、という明確な意思表示に他なりません。だとしたら、その人をぞんざいに扱うことはいいことでしょうか? 下手すると、チームの損害になりえます。

たとえば、あなたがあるスポーツ組織の中でボランティアで活動をする機会があったとしましょう。あなたは、少なくともいい印象を持っているから、そこに協力してみようかなと思ったはずです。しかし、問い合わせへの対応や働いている時に接した職員の印象が最悪だったら、どうしますか? 2度と試合を見に来るもんかと思ったり、グッズを買うこともなくなるかもしれませんよね。口コミやネットで、「あのチームの中はダメだ」と広められ、被害はさらに拡大していくかもしれません。中に入って仕事をしたいというコンタクトを、「ひと時のできごとで後は関係ない」と考えるのか、「長く関わりを持っている中での一点、または関わりの端緒」と考えるのかの違いです。

ファン感謝デーを取り仕切る部門と、人材採用を取り仕切る部門は間違いなく違う人ですから、ブリュワーズは組織としてコミュニケーションの重要性を心がけているのかな、とも推測しています。

僕ももちろん、すぐに反応しました。感想を書いて、葉書を出しておきました。