最近は、ちょっと慌しい日々を過ごしていました。先週末、卒業式があって、ともに学んだ仲間がこの街を離れていきました。寂しい気持ちと、新しい場所へと進む晴れやかな気持ちが入り混じったような空気がキャンパス内を包んでいました。

他の専攻を卒業された日本人の方とは「東京に来ることがあったら、是非会いましょう」というようなあいさつを交わしました。ごく普通のあいさつです。一方で、スポーツマネジメントを一緒に勉強した仲の良い中国の友達からはこう言われました。

 

「じゃあ、世界のどこかで!」 (See you somewhere in the world!)

 

ああ、留学してるなぁ、と実感しました。そして、少し経ってから、こう思いました。「ああ、彼には、自分が働く大きなステージが見えている」と。

スポーツマネジメントを同じ学校で学んだとしても、自分がどこで働くのか、また、どこまで(どこにいる)スポーツファンという顧客を意識するのかは、随分違っているんじゃないかと改めて思います。

インディアナ大学の場合、大学のアスレティックディパートメント(体育会)で働きたいという人が一番多いです。その中にはすでに、学生マネージャーやビデオコーディネーターなどチームのスタッフとして働きながら学んでいる人や、チケット売り場、場内案内係などでアルバイトをしながら、もっと上のポジションを狙ってクラスに通っている人もいます。このような人たちにとっては、大学の学生や卒業生、ブルーミントンの住民などが主な顧客として考えられます。インディアナの男子バスケットは、例外的に全国区のブランドですから、そこで働いたり、マーケティングなどに携わるともう少し広く顧客を意識することになるでしょう。

去年卒業した同級生の中にはインディアナポリスにあるプロチームで働いている人がいます。インディアナ・アイスというマイナーリーグのアイスホッケーのチームですが、ここだとインディアナ州南部くらいまで、少し意識する範囲が広がります。インディアナポリスにあるもっと大きなチーム、NFLのコルツやNBAのペーサーズでインターンをしたという友人たちの話だと、インディアナ州全体に留まらず、車で来られる範囲で他州から試合を見に来る人も珍しくないですし、インディアナ出身だけど今はNYやLAなどの大都市で働いているというファンも考えなくてはならないとか。3ヶ月ほど前に会ったインディアナ大の卒業生は、NBAのマーケティング部門で働いたことがある人で、こうなると全米を視野に入れ、またNBAは外国人プレーヤーも多数いますから、欧州、南米、アジアなど国際的に考える局面も多々あるでしょう。

また、こちらに来て知り合った日本人の方の中には、日本人の顧客の二-ズを満たすために、アメリカのスポーツ業界の関係者と結びつけたり、アイデアを提供する仕事をしている方もいます。これは、アメリカに住んでいますが、お金をもらうのはほとんど日本からです。スポーツマネジメントの教授など研究者になると、自分の学校の生徒に教える仕事もありますが、研究の成果というのは世界で共有する財産になります。

 

自分の場合は、どうなのかというと、記者の仕事では、直接触れ合うことはほとんどないにしても、日本全国の何百万人、またオリンピックなど注目度の高い時なら何千万人という読者を意識していました。そのプレッシャーは今思い出しても大変なものでした。しかし、留学の目的は「スポーツに関わる学問の勉強不足を補う」ということでしたから、留学前に、特に「日本のために頑張りたい」とか、「アメリカのスポーツ業界に残ってアメリカ人を相手に自分の力を試したい」というのは意識していませんでした。実際、アメリカで学んでみると、スポーツマネジメントの学問的ことはもちろん、世界のどこでも役に立つはずですし、プロジェクトやレポートをやったりする中で、自分の考え方やアイデアは日本で身につけたものだけど、国に関係なく通じる部分が多いなと感じています。なので、今でも、そしてこれから先も、地域レベル、全国レベル、国際レベルというのは、絞るつもりはありません。自分の持っているものをできるだけ還元させること、出し切ることだけにこだわりたいです。働くステージで、自分の力を使いきれていないと感じるのが嫌なのです。

 

最初に書いた中国の友達は、「アメリカで簡単なレベルの仕事から入っていくのはつまらないから、中国に帰ってアメリカで学んだことを生かしてビッグビジネスをする方がいい」と言っていました。意識が高く、積極的に動ける彼なら、困難を乗り越えてやり遂げるような気がしています。世界のどこかで、彼と再会できる日を楽しみに、僕も精進していきます。