少年・少女向けの競泳大会でも、小規模なスポーツマネジメントになっていますという話の続きです。前回は、入場料を取る話に思わず熱くなり、違う方へ話が発展してしまいました。書こうと思っていたのは、今回のような話です。

 

スイミングクラブが、こうした大会を主催する理由は、貴重な収入源だからです。支出は、プールの使用料が主で、審判や運営スタッフはほとんどボランティアでまかなえますから、収入の方が支出を大きく上回ります。現場で見た主な収入源は、

○選手の出場料-インディアナ州だと、1レースにつき、4~5ドルくらいを取るのが標準です。一人の選手は、5種目(自由形、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライ、個人メドレー)にエントリーすることが多いですし、会場の規模にもよりますが、1チームから何十人もの選手が来ます。これが金額的には最も大きい収入と考えられます。

○スポンサー料-州も広いですから、大会のためによそから泊りがけで来るチームがいます。そこで、そうした人たちが欲しい情報であるホテルやレストラン、料理のデリバリーなどをメインターゲットにスポンサーを取りにいくのです。割引のクーポンを配ったり、会場のスクリーンに広告を出したり、有料(5ドル)で紙で配られる選手のスタートリストにも広告を入れています。他にも、水泳用品のインターネット販売を行う会社やTシャツをプリントしてくれる会社などがスポンサーになっていました。インディアナのほかのクラブのホームページでは、このように具体的な額を挙げているところもあります。大会のタイトルスポンサーなら1100ドル、といった具合です。

(ピザ屋の広告がスクリーンに)

○売店の収入-飲み物やお菓子、果物などちょっとした食べ物を売る店も選手の親がボランティアで運営しています。アメリカだと、スーパーでまとめ買いすると、安くなるものが多いですから、1つを1ドル、2ドルで売って、差額を利益にします。ホットドックとか、ナチョスとか、意外と種類が豊富でした。大会は1日に8時間くらいやっていますから、見ている人も選手も長丁場に備えて、エネルギー補給をしないといけません。

この3つを見ると、何十万円か稼ぐのは、そんなに難しくないなと、ざっと計算した感じでわかります。

ある水泳クラブのホームページを見てみると、年に3回ほど、このように大会を主催して、年間運営費の25%を得ていると書いてありました。

 

じゃあ、日本ではできないのかな? と考えたくなりますよね。そのための一番大きなハードルは法律や条令などを含めた規則・規定にあるような気がします。前回書いたように有料イベントにすると、途端に会場使用料が跳ね上がるのでは、小規模では赤字になってしまいます。食べ物を扱うとなると、食品衛生法や火気の使用制限も関わってきます。スポーツ施設は、公園に関する条例などの対象になっていることが多いのです。各施設は、市民の健康維持などを主な目的とし、大会で収入を得る組織のことなどはあまり想定されていません。公立の高校や大学のプールでも、こうした大会を開けるアメリカとは大きな違いがあります。これを変えるのには、行政の深い理解が必要です。ひょっとすると、こうした条例や法律を変えるのに難を示す市民の数も少なくないかもしれません。

こんなことをあれこれ考えながらスタンドで観戦していると、幼稚園生ぐらいの女の子が2人で席にやってきて「○○ピザのクーポンはいりませんか?」とにっこり笑って聞いてきました。その瞬間、「こんな小さい子まで、スポーツマネジメントに参加してるんだ」と、日本との違いに改めて驚かされました。