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リグレーフィールドのブランディングとは

10.9.30

先週の土曜日(25日)に、大リーグ、シカゴ・カブスの本拠地、リグレーフィールドに行って来ました。学校が留学生向けに日帰りバスツアーを提供してくれたので、いいチャンスだと思いまして。往復8時間、滞在8時間という厳しいスケジュールでしたが(これ以上ゆっくりすると、週末の宿題が終わらない)、久々にスポーツの現場の空気を味わい、よいリフレッシュができました。
試合内容は四球と失策が目立ち、消化試合という印象はぬぐえませんでしたので、メインは球場の雰囲気を味わうことでした。

リグレーフィールドは1914年に建てられた大リーグで2番目に古い球場です。以前から、一度は行ってみたいと思っていた場所のひとつです。
スタンドに足を踏み入れた瞬間、「うわ~」と思わず声が出ました。

芝と蔦の緑が本当に美しかった。

野球場は英語でBallparkと言います。ほんとに「公園」という雰囲気がします。
ファウルグラウンドが狭いので、バッテリーもブルペンもよく見えます。野球好きにはたまらない距離感です。ファンを育てる距離感と言えるかも知れません。
それと、熱い観客です。熱狂的な声援が、年季の入った鉄の屋根に反響します。長打が出たりすると、みんな立ち上がって見るので、何度も立ったり座ったりしました。大リーグの球場は10箇所ほど行っていますが、こんなのは初めて経験しました。

その他にも目に付いたのは
○スコアボードが今でも手動

○近隣の建物の上にまで、席がある(チケットは球場とは別に売っています。この伝統もユニークな体験として、敢えて残しているわけです)

球場にいてずっと頭の中にあったのは、マーケティングの「ブランディング」ということですね。「歴史と伝統」というのが、この球団と球場の最大の魅力です。
スコアボードだって、球場そのものだって、100年近い歴史の中で建て直すことは可能だったはずです(シカゴはあまり財政事情がよくないそうですが)。後の時代のもの、例えば小さい電光掲示板やコンコース内の液晶テレビなどは、どこか浮いています。観客の利便性を考えての決断だったとは思いますが。伝統的なものと現代的なものとの融合は簡単ではありませんね。

同行した友人が「売っているグッズが垢抜けない」とこぼしてましたが、これを今風のデザインにしてしまうと、全体の統一感がなくなってしまうわけです。
先日のスポーツマーケティングのクラスで、「行動を決める時は常に、チームが目指すビジョンに則っているか確かめろ」と習いましたが、シカゴ・カブスそしてリグレーフィールドという球場を見て、それがどういうことなのか、腹に落ちた感じがありました。

それと、この球場を見ると、古い球場から最新式の球場に向けて、何を加えていったのかも見えるような感じがします。生まれて初めて見た球場がドーム球場だった子供がこの球場を見たらびっくりするでしょうね。
照明ができたのが球場ができて74年後の1988年というのがまずすごい。
打順に沿った形の出場メンバーも昔からあったのではないし、ましてや個人成績が出るのは電光掲示板ができてからというのにも気付きます。看板も昔からあるものではないんですね。

スポーツの歴史のクラスで最近勉強しましたが、そもそもスタジアムというのは、スタンドを作って囲ってしまえば、入場券が売れるし、売店が露店と競争しなくてすむという商売的な発想から生まれたものだとか。稼げれば、技術の優れた選手に高い給料を出して集められるのでチームが強くなったわけです。

野球の歴史を振り返ってこんなに語れるのも、リグレーフィールドのブランドの一つであることは間違いありません。こんな経験ができることも含めて、観客はお金を払うわけです。
いつまでも歴史と伝統に頑固にこだわってほしいです。

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この記事の執筆者

早川 忠宏

早川 忠宏 | Tadahiro HAYAKAWA

スポーツPRプランナー ®
Sports PR Japan 株式会社 代表取締役

13年間の記者経験と米国留学を経て広報に転身。日本ブラインドサッカー協会で初代広報担当として認知度向上に貢献し、PR会社でのコンサルタント経験も豊富。スポーツビジネスに特化した広報支援を展開し、メディアとクライアントへの深い理解を基に、ブランディング強化や認知度向上をサポート。スポーツ関連団体や企業に対する柔軟な対応で、成長を目指すスポーツ関係者から高く評価されている。

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