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SPORTS PR JAPAN スポーツPRジャパン

スポーツをする理由、スポーツを見る理由

10.10.11

なぜ自分はこのスポーツに惹かれているのか、とまじめに掘り下げて考えたことってありますか?
なぜ、サッカーよりも野球が好きなのか? ラケットを使うスポーツはいろいろあるけど、なぜ卓球なのか?
みんなにマニアックと言われながらも、ラクロスをプレーしている理由は?
などなど、意外と考えたことがないのではないでしょうか?
先日のスポーツマーケティングのクラスで、スポーツに関わる動機(プレーする動機と観戦する動機の両方を含む)について考えたので、それを紹介します。マーケティングに携わる者は以下のリストのどれを刺激しているのか意識して、打ち手を考えなさい、という話でした。
教授によると、主なものは8つあると考えられています。
(1)Entertainment(面白さ)
面白いと思うものも人とそれぞれで、激しく体がぶつかりあうのが好きな人もいれば、緻密な戦略が好きな人もいます。へとへとになるまで頑張るのが面白い人もいれば、軽く汗をかくのがいい人もいます。各自が、もう少し突っ込んで考えられるものだと思います。

 

(2)Eu-stress(やらなくちゃ)
前向きなストレスという意味で、辞書ではあまり見かけない単語です。平たく言うと「やらなくちゃ」という気持ちですね。「あ~、最近ジョギングさぼってるな~。やらなくちゃ」とか。

 

(3)Group Affiliation(帰属意識)
「周りの友達がみんなサッカーやってるので、僕も」とか。あるスポーツイベントのボランティアを毎年やっている人が、「あの大会の仲間はほんとに楽しいのよ」とか。大学の対抗戦を見に行くと、その大学の学生になった実感がすごくする、なんていうのもこれですね。アメリカでは学生スポーツのプロモーションで、積極的にここを刺激してます。ユニホームを着て応援に行くのは、典型的なこれです。

 

(4)Self-Esteem(自尊心、うぬぼれ)
ジムで重いバーベルを上げながら、鏡の前で自分の筋肉を確かめている方々は、文句なしにこれですね。「○○のファンたるもの、この一戦は絶対見に行かなければ」というのもこれです。「熱烈なファン、あなたの声援が必要です」とポスターで訴えかけるプロモーションはここをくすぐっているのです。

 

(5)Aesthetic(美しさ)
わかりやすいのは、フィギュアスケートでしょう。スタンドからうっとりしたため息が漏れるスポーツって、そんなに多くないですね。体操もこれですね。取材していた時に「日本人の美しさを追求する」と公言する選手、コーチがいました。個人的な体験では、陸上を初めて競技場で見たとき、「やり投げが描く放物線って美しいな」と思いました。

 

(6)Escape(日常から離れること)
「昼は大人しく会社で働いてますけど、夜はエアロビクスのスタジオで弾けてます!」という方とか。最近は減ったのかもしれませんが、野球ファンが集う居酒屋でテレビ観戦しながら、一杯飲むのが楽しみというおじさんもいるでしょう。球場の外側がフェンスで囲われているのは、「ここからは非日常の世界です」と言う目印です。

 

(7)Family(家族)
家族の影響でそのスポーツを始めたという選手は、すごく多いという記憶があります。有名どころでは、女子レスリングの浜口京子さんとか。兄弟姉妹で同じスポーツをやっている例は、たくさんあります。それから、あなた自身、家族の影響で○○のファンに、いつのまにかなっていたということはないですか? クラスでは、インディアナ生まれだけど、お父さんがボストン出身なのでレッドソックスのファンというような人がいました。身近でともに過ごす時間がたっぷりある家族の影響は、それだけ大きいということですね。

 

(8)Economic(値下げ、お得)
スポーツクラブが、今なら入会金無料、というのをよくやっていますね。試合観戦でも普段はあまり行かないけど、「今日は安いから見に行こう」ということは十分あります。千葉ロッテの360度ビアスタジアム、というプロモーションはこれです。
ただ、日本のスポーツ業界は全般的に、この手法をあまり使っていない気がします。施設使用料や売店収入の分配が影響していると考えられます。アメリカだと、例えば、インディアナ大学のフットボールは学生は一律5ドル(一般は40~50ドルです)。学費を払っている人に対するエンターテインメントの割引とも考えられるし、スタンドをにぎやかにする方が、収益よりも大切とも考えられます。面白いのは卒業して3年以内の人も5ドルに設定していることです。「安いからみんなで見に行こうぜ」(プチ同窓会?)ということになり、スタジアムの一体感や応援歌を歌って愛校心を刺激されたら、どうしたくなるか? 狙いは寄付です。安くしても見返りの方がはるかに大きいです。卒業して10年、20年となると、観戦に40、50ドル出せる裕福な層が寄付してくれるはずです。

 

個々は独立したものではなく、複合していることもあります。
例えば、ファミリーチケットというは(1)(7)(8)を同時に満たすプロモーションだと考えられます。チアリーディングに参加している人だと(3)(4)(5)かな。wii sportsは(1)(2)をうまく突いているのかもしれません。

この分類は、あるプロモーションや打ち手の他の可能性を考える時に有効でしょう。
(8)だけだとしていたプロモーションに(2)や(3)の要素を加えれば、さらに多くの人にアピールできる可能性が高まります。

競技団体やイベント主催者にとって、仲間を集めたり、集客をするというのは根幹をなすことです。
その打ち手を考えるときに、なんとなく思いつきでやるのではなく、上記のどれに関わっているのかを意識するとよいでしょう。
そんなことはいちいち意識していない人が圧倒的大多数なので、効果はあるはずです。

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この記事の執筆者

早川 忠宏

早川 忠宏 | Tadahiro HAYAKAWA

スポーツPRプランナー ®
Sports PR Japan 株式会社 代表取締役

13年間の記者経験と米国留学を経て広報に転身。日本ブラインドサッカー協会で初代広報担当として認知度向上に貢献し、PR会社でのコンサルタント経験も豊富。スポーツビジネスに特化した広報支援を展開し、メディアとクライアントへの深い理解を基に、ブランディング強化や認知度向上をサポート。スポーツ関連団体や企業に対する柔軟な対応で、成長を目指すスポーツ関係者から高く評価されている。

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