最近、日本でもソーシャルメディアをつかった企業のPRの成功例や失敗例がブログなどで取り上げられているのを目にします。
前回のレブロンジェームズとナイキのCMの記事にも書きましたが、うまい下手の差が売り上げ等に響いているということでしょう。
それに関して、今回も「スポーツとニューメディア」のクラスでの議論から学んだことです。
ソーシャルメディアの使い方で「失敗しているなぁ」と感じるもの、としてクラスで挙がったのは
(1)テーマがない
どういう人をひきつけたいのか、どんな情報を伝えたいのかが全然わからないのは困ります。
CMやポスターの写真がむやみに蓄積されたfacebookなどが見受けられます。顧客がなぜそこに来るのかをイメージして、何をしたがるのかがわかっていない。
あと、「どうもTwitterというのが世間で人気らしいから、とりあえず使ってみろ」というような上司の命令が目に浮かぶようなのもあります。
他のプロモーションでもターゲットと戦略ってきちんと考えて、議論しますよね。新しいメディアで不慣れだからと言って、「とりあえず」というのはどうかと…。
(2)やたらと売り込んでいる
新商品やプロモーションの告知ばかりのものは客が引きます。
役に立つ内容をブログで書いていても、最後に「これについてもっと知りたい人はこちらを買ってください」というような宣伝がついていると、ゲンナリします。
例えば、テニス選手の面白い話が書いてあって読んでいたら、最後にラケットの広告がついているのとか。
(3)作り手側の事情が見えてしまっているもの
せっかくコメントを投稿しても1週間も返事がない。ブログの更新を1ヶ月ごとにまとめてやってしまっている。他で使った素材(ポスター、雑誌掲載等)の流用ばかりしている。
PR部門の人手が足りないのかもしれませんが、片手間でやっている感じが伝わってしまうのは、もう一回訪れたいとは思いません。
逆に「うまくいっている」と感じるものは
(A)双方向になっている
コメントの返信をすぐ返してくれる。Twitterで活発に議論に参加している。自分が投稿した写真や動画をみんなに見てもらえる。
CMやDM、ポスターなどは一方的に情報が送られてくるだけです。ソーシャルメディアはinteractiveというのが大きな特徴なので、それを必ず生かしましょうということです。
(B)コミュニティーに参加している気持ちになれる
知らない人、はるかかなたに住んでいる人と共通の話題で盛り上がれるのが、ソーシャルメディアで簡単になりました。そうした場を設けてあると、参加者は楽しい気分になります。
ナイキのランニングを計測する機械を買うと、目標や走行距離、お勧めのランニングコースなどを共有できるサイトがあったと思います。あれは完全にコミュニティーですよね。
(C)押し付けがましくなく、相談に乗ってくれる
単なる商品説明や買うことをプッシュするのでなく、役に立つ情報が得られるというのだと、頻繁に訪れたくなります。「○○好きの人が集まるサイト」という評判になれば、そのうちの何パーセントかの人は、そこで買い物をしてくれるのではないかと。
リアル店舗でも、こういう店ってないですか? ファッションについて的確なアドバイスをくれる店員さんとか、ソムリエ資格を持っている店員さんとか。
まとめです。
ソーシャルメディアを使う意義は今までできなかったことをすることにあります。
それはコミュニティーということです。つながれる規模と方法がこれまでとは違っています。しかし、やることは人付き合いと同じです。商売をするというよりも、親しくなって楽しんでもらおうという気持ちです。
「ソーシャルメディア」という言葉から、新しい「メディア」と考えてしまいがちです。
メディアと言って、まず思い浮かべるのは新聞、テレビ、雑誌、ラジオ、広告と言ったものです。だから、それでやってきたことと同じようなことをやろうとしてしまいます。
これが間違いの原因というのが教授の主張でした。僕自身も納得しました。
大事なことは「ソーシャル」に重点を置くことです。
普段、家族、友人、知り合いに接するように、楽しい話題、面白いことを提供し、仲間に声を掛け、コミュニケーションを楽しむ。
やたりと売り込む人とかは嫌われますよね。それはソーシャルメディア内でも同じではないでしょうか。
普段どおり、人付き合いをしていくことがうまくいく方法なのでしょう。
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スポーツPRプランナー ®
Sports PR Japan 株式会社 代表取締役
13年間の記者経験と米国留学を経て広報に転身。日本ブラインドサッカー協会で初代広報担当として認知度向上に貢献し、PR会社でのコンサルタント経験も豊富。スポーツビジネスに特化した広報支援を展開し、メディアとクライアントへの深い理解を基に、ブランディング強化や認知度向上をサポート。スポーツ関連団体や企業に対する柔軟な対応で、成長を目指すスポーツ関係者から高く評価されている。