アメリカで今週から放映されているレブロン・ジェームズのナイキの新しいCMが面白いです。
NBAのスーパースターは、今夏キャバリアーズからFAで(他にもスター選手を加えて優勝が狙えそうな)ヒートに移籍しました。
決断を発表する場として、ESPNでわざわざ特番が組まれたほど。他のスポーツを見ても移籍のニュースがそこまでの価値を持つなんて聞いたことがありません。
そのように番組で発表することを含めて、賛否両論ものすごい議論となりました。それを踏まえておけば、英語がよく聞き取れなくても面白いので、さらっと見てみて下さい。
”What shoud I do?” (どうすればいいんだよ?)
と何度も繰り返してますね。
ものすごい批判を浴びたことをおちょくってます。
先日のスポーツとニューメディアのクラスで、このCMが材料として取り上げられました。
コミュニケーションの理論の一つに「Two step flow」という考え方があるそうです。
ネタがあって、それを見たり、聞いたり、読んだりした人(opinion leaderという用語を使ってます)が自分の解釈を加えて他の人、しかも複数に伝えていく。
「ねえ、知ってる?」 「見た? あれ」ということです。この繰り返しで情報伝達というのは行われていますね。
言われてみれば当たり前ですが、言われるまではまったく意識していない。そんな感じのことだと思います。
そして、忘れられがちなのは、出来事が話題になって広まるのではなく、その出来事に対するリアクションが話題となる、インパクトがある、パワーを持っている、ということです。広まるのはネタそのものでないんです。リアクションの方が広まっていくんですね。
レブロンの例で言うと、移籍したことではなく、リアクションが広まって、移籍に対する賛否両論の方が大きなものになってしまったわけです。
今夏のメディアの取り上げ方も、世論調査の結果、好感度が下がっている(しかもタイガー・ウッズ以上!)みたいなのがニュースになっています。年代別、性別、州別などで調査結果もかなり詳細で、一人の選手にここまでやるのか、と驚きました。そこには、戦力分析とかよりも、そっちの方がニュース価値が高いというプロの判断があったわけです。
リアクションの方が広まる傾向は最近特に強まっています。言うまでもなく、ニューメディアの影響です。
リツイートしたりしますよね。動画も簡単に伝達することができる時代になりました。
バイラル(ウイルスが広まるように、バーっと広まること)という言葉も聞いたことがあるかもしれません。
挑発的な内容のCMで、マーケティング戦略として、これで彼のイメージが上がるのか、売り上げにつながるのかは微妙じゃないかなとは思います。
ただ早くもこのCMのパロディーみたいのはいろいろなTVで出たりしてますし、youtubeの再生回数も5日間で260万回を超えてますので、ものすごい勢いでリアクションが広まっているというのは間違いありません。僕もこれを書いている時点でその一人なのですが。
教授の見解では、ナイキは「ニューメディアの時代をわかっている」企業だとのことです。
スポーツの世界でも、個人レベルでも、組織レベルでも、こういう部分の差がどんどん広がっているんでしょうね。
まずは、物事を見るとき、考える時に上記のことを意識してみます。
“What shoud I do?”と僕も考えなくてはいけません。
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Sports PR Japan 株式会社 代表取締役
13年間の記者経験と米国留学を経て広報に転身。日本ブラインドサッカー協会で初代広報担当として認知度向上に貢献し、PR会社でのコンサルタント経験も豊富。スポーツビジネスに特化した広報支援を展開し、メディアとクライアントへの深い理解を基に、ブランディング強化や認知度向上をサポート。スポーツ関連団体や企業に対する柔軟な対応で、成長を目指すスポーツ関係者から高く評価されている。