ボルティモアではスポーツミュージアムにも行ってきました。
野球では知らないもののいないベーブ・ルース、そして最近では北京五輪の競泳で8個の金メダルを獲得する偉業を成し遂げたマイケル・フェルプスの出身地です。出発前に中国出身のクラスメートと話をしていて、ボルティモアに行くと言ったら、うらやましがられました。彼女は北京五輪でフェルプスを生でみて忘れられないそうです。
MLBのオリオールズの本拠地、カムデンヤードのすぐ近くにsports legends museum at camden yardsがあります。路面電車も通り、街の中心地なので行きやすいです。
場内が撮影禁止なので、言葉で説明していきます。少々もどかしいですが。
フロアは1階入り口左手から入っていって、地下に行き、右手に移動していって、また1階に戻ってくるという風に順序が決まっています。チケット売り場の人がバァッと説明してくれます。
最初は野球コーナーでオリオールズ関連のものがメーンです。1984年にオリオールズが日本遠征した時の写真やプレゼントの兜も飾られていました。有名選手のバットやグラブなど、もちろんカル・リプケン・ジュニアはどーんと紹介されています。個人的には学期中に野球の歴史を勉強したので、昔の遠征の列車の様子や、アフリカ系選手のチームの歴史などが興味深かったです。映像もいろいろあって、これで1階左手のスペースを占めます。
地下に降りていくと、サッカー(ボルティモアはインドアサッカーが強い)とラクロスというこの地域盛んなスポーツの発展の歴史やカレッジスポーツ、地域内のスタジアムの歴史がいろいろ説明されています。映像あり、選手のマネキンあり、クイズありとただ見ているだけではなく、いろいろ楽しめるように工夫されています。
その中にフェルプスのコーナーもありました。北京のメダルはまだ飾られていませんでしたが、世界選手権やアテネ五輪のものはあります。ただ、幅1メートルたらずの小さいショーケース1個だけと寂しいものでした。日本人の感覚ではオリンピックで前人未到の偉業を成し遂げているのだから、スポーツ博物館では最高レベルの扱いになるのではと思ってましたが(中国出身の彼女もそう思っているはずだ)、はっきり言って、ラクロスより小さい扱いでした。
さらにそのケースの中に液晶画面があって、凱旋パレードの様子やレース当日の様子が流されています。歴史を塗り替えるかが注目された8個めの金メダルがかかったメドレーリレーの決勝の日には、NFLレイブンズのスタジアムでパブリックビューイングが行われていたのです。観衆は約1万5000人。そして、そのイベントのタイトル「Ravens for Phelps」。フェルプス自身がレイブンズの大ファンらしく、そのお返しの意味もあったようです。ただ、スタジアムは7万1008席あるのでおそらくスカスカだったはず。そして、みんながレイブンズのユニフォーム姿で競泳を応援しているという様子も違和感がありましたね。当日の写真をウェブで見つけたので、参考までに。
金メダル8個でもこの扱い。この国のオリンピックの位置づけを実感した後、1階に上がってくるとドーンとNFLコーナーが。
日常生活にしっかりと根を張っているNFLというスポーツと、五輪や世界選手権の時にしか注目されないスポーツの違いを感じさせられました。
アメリカのスポーツの歴史を振り返ると、MLBやNBA、NFLは工業が発展していった時代に都市化が進み、その街の新しい住民の共通の話題として存在感を増していったという背景があります。「昨日も○○が勝ったね」というのが日常会話の中にある日々を何年も重ねてきたわけです。自分がプレーする楽しみの延長上にある競泳、陸上などのオリンピックスポーツとは位置づけが違うのです。
そう考えた時に、オリンピックに異常に注目が集まる一方で日本は、日常生活の中のスポーツ観戦がまだまだ充実していないのかもしれません。Jリーグが出来てからはだいぶ変わったとは思います。単に文化の違いと片付けるのか、何かを変えるべきなのかはもっと時間をかけて考えますが。
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Sports PR Japan 株式会社 代表取締役
13年間の記者経験と米国留学を経て広報に転身。日本ブラインドサッカー協会で初代広報担当として認知度向上に貢献し、PR会社でのコンサルタント経験も豊富。スポーツビジネスに特化した広報支援を展開し、メディアとクライアントへの深い理解を基に、ブランディング強化や認知度向上をサポート。スポーツ関連団体や企業に対する柔軟な対応で、成長を目指すスポーツ関係者から高く評価されている。