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自らを併催イベントにする

14.5.14

先日、東京の代々木第一体育館で行われた卓球の世界選手権団体戦を見に行きました。

さすがゴールデンウィーク。原宿駅の改札を出るのにも行列ができており、人流れは世界卓球の会場にも向かっていました。近くの歩道橋を渡るにも混雑しており、「卓球の人気もここまで来たか」と感心していましたが、それを味わえたのはほんの数十秒。すぐに気がつきました。人が集まっているのは、代々木第一体育館ではなく、その周辺のスペースじゃないですか。

開局50周年記念「テレビ東京フェスティバル」が大いに人を集めていたのです!

ぐるっと一回りすると、ナルトやポケモンなど、大人気のキャラクターものがあったり、「モヤさま」など人気番組のコーナーがあったり、オリジナルグッズが売っていたり、グルメコーナーも充実。巨大な看板など、写真を撮るのにバッチリというコーナーもいくつか設けられていて、全体的にイベントでお金を稼ぐ基本をきっちり押さえたつくりで、非常に納得しました。公式ツイッターでの発表によると、動員は、8日間で10万人を超えたとか。

このイベントは、ふらりと行って入ることはできません。前日までにインターネットから無料のチケットをダウンロードするか、世界卓球のその日のチケットを持っている人だけが入れます。この少々手間がかかる状況で、1日平均1万人を超える動員だった点には注目すべきです。

ちなみに、世界卓球の観客数は報道によると、同じ8日間で4万2000人。スタンドの半分くらいを関係者席が占めており、チケット販売数に限りがあることは考慮しなければなりません。しかし、卓球だけ見てテレ東のイベントは見ない、という人と、その逆を想像すると、後者の方が多そうで、動員力ではテレビ東京のイベントが勝っていたのではないかと思います。

つまり、世界卓球は「テレビ東京フェスティバル」の併催イベントだったと見ることができます。

 

全国ネットではないとは言え、ゴールデンタイムで視聴率10%近くを取れるスポーツコンテンツでも、自らを併催イベントとして観客動員を図っている。

この現実は直視しなければなりません。

僕が携わっているブラインドサッカーのような弱小スポーツでは、自らを併催イベントと位置づけることはちょくちょくやっています。例えば、フットサルの大会や少年サッカー教室を試合会場に隣接するフィールドで行ってもらい、集客します。選手や親らフットサルやサッカーをわかっている人に新競技を知ってもらおうという狙いもあります。以前から、他のスポーツでもこういうのをやったらいいのに、と思っていたのですが、それがまさか、世界卓球クラスの大会で行われるとは想像していませんでした。

僕としては、アメリカで見てきたスーパーボウルとその併催イベントのような(その時のブログ記事「本物には力がある」)ものを日本でもつくりたいな、という思いがあります。超パワフルなスポーツコンテンツがどーんと真ん中に座っていて、他の分野のものが小さく周辺にあるようなイベントです。しかしながら、日本の現状はそれを許していません。

日本では正攻法で、スポーツにお客さんが集まる時代は終わっています。今でも、「オリンピックでメダルを取ればお客さんやスポンサーの注目が集まるはず」とか思っているスポーツ関係者は、正直しんどいと思います。

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この記事の執筆者

早川 忠宏

早川 忠宏 | Tadahiro HAYAKAWA

スポーツPRプランナー ®
Sports PR Japan 株式会社 代表取締役

13年間の記者経験と米国留学を経て広報に転身。日本ブラインドサッカー協会で初代広報担当として認知度向上に貢献し、PR会社でのコンサルタント経験も豊富。スポーツビジネスに特化した広報支援を展開し、メディアとクライアントへの深い理解を基に、ブランディング強化や認知度向上をサポート。スポーツ関連団体や企業に対する柔軟な対応で、成長を目指すスポーツ関係者から高く評価されている。

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