「こんなに増えたんだ」
受験シーズンということもあり、ふとしたきっかけで、スポーツビジネスやスポーツマネジメントを学べる大学というのは、日本にどれくらいあるのだろうと調べてみました。私の学生時代とは比べものにならないくらい増えていて、しかもこんなに全国的にあるのだと驚きました。

と同時に、スポーツを仕事にするというのが身近になった中で、では、どうすれば、そこにたどり着けるのか? 「スポーツビジネス 大学 選び方」というのは検索しても出てきませんでした。スポーツに関する仕事を20年くらいしていて、もっと若い人に活躍してもらいたいと思うので、選び方を書いてみようと思います。こういう考え方もあるんだくらいの参考になれば、うれしいです。

10年ほど前に経験した、スポーツマネジメントを学べるアメリカの大学院を受験した時の大学の選び方が参考になるのではないかと思うので、それをベースにして説明します。

アメリカの大学院でスポーツマネジメントを学べるところは200校以上あります。そこから、一気に絞り込むのに、まず自分よりも現場を詳しく知っている人に尋ねました。同じ分野で米国に留学していた大学の先生に共通の知人を通じてコンタクトを取り、会いに行きました。真っ先に教えてもらったのは、教育のレベルは、そこにいる先生(教授、講師)によるところが大きいということでした。もう少し言うと、200校のうち、博士号が取れる教育レベルにあるのは、20校ほどしかなく、これがトップクラスということがわかりました。

また、その先生のつながりで、同じ分野で留学経験のある方を数人紹介してもらい、さらに話を聞き、その20校には入っていなくても特色のある学校をいくつか挙げてもらいました。例えば、就職の実績、スポーツ団体や地元プロスポーツチームとの繋がりが深いか、大学のチーム(日本で言う体育会)が強いとか立派な施設があるかなどです。これらもリストに残しておきます。ここでわかったことは、就職の実績や外部組織とのつながりの多くは、先生によってもたらされるということでした。

次に、スポーツマネジメントと言っても、それぞれの先生はさらに細かい専門分野を持っていることもわかりました。マーケティング、財務、法律、歴史などで、私の場合はスポーツコミュニケーション(メディア、広告、広報など)を特に学びたいと思いました。そうすると、それを研究している先生がいる大学をかなり絞ることができました。第二、第三で学びたいのは、マーケティングと社会貢献活動だったので、その先生も調べて、それらを専門とする先生が多くいるところがリストの上位になりました。

その後、リストアップした大学の合格判定基準と出願スケジュールを調べていきました。アメリカだと、評定平均(学部時代の成績)、英語のテスト(TOEFLなど)と大学院受験の共通テスト(GMAT、GREなど)、願書になります。日本では、偏差値、出願締め切り日と入試日、テストの科目、入試方法(推薦入試、AO入試、論文の有無、共通テストの有無など)になるでしょうか。これで、ちょっと自分にはハードルが高いと思って、外した大学もありました。あとは時間を掛けて受験の準備をしていったのですが、そこは選び方ではないので、ここには書きません。
そして、大学院に入学して学んでから一番強く感じたことは、「先生で選んでよかった」ということでした。

なせ、先生で選ぶのがいいのかの理由を三つ挙げます。

① 学びを導いてくれるのは、先生だから
一度社会に出てしまうと、朝から晩まで仕事をして、新しいことをしっかりと学ぶ時間を取るのは非常に難しいです。大学というフルタイムで学べる環境に身を置ける時間というのは、それだけ貴重です。大学は、ちょっと歩けば図書館に学べる本が山ほどあり、わからないことを聞けば教えてくれる先生がいて、一緒に学べる仲間もいます。先生は学びを導いてくれる存在です。だからこそ、しっかり深く学んで欲しいです。そして、それを世の中で実際に起きていることと結びつけて考えられるようになることが、大学で学ぶ大きな意味です。これができるようになれば、就職のチャンスは自ずと増えていきます。
インターンや実習の機会が欲しいというのもよく分かります。例えば、プロスポーツチームと結びついているような環境は魅力的に見えるでしょう。しかし、実践をしたいなら、アルバイトでもいくらでもすることができます。今なら、ツイッター経由でもチャンスは自分で結構、見つけられます。大学が用意したものではなく、自分で探す行動力がある方が就活でもアピールできます。研究の部分をしっかりと深めることは、大学でいい先生と交流することでしかできないので、大学に最も求める部分がそこだということをまず押さえて下さい。

 

② いい先生は実務にも貢献している
いい先生というのは、理論を深堀りするのみならず、現実に起きていることと結びつけて考えたり、社会課題の解決に研究者という立場から貢献しようとしていることが多いです。
私がアメリカで学んでいた時には、先生から自治体、非営利法人、プロリーグなどが行う研究や調査に加わった話を聞きました。日本だと、例えば、Jリーグ観戦者調査というものがあります。これは、日本全国にいるスポーツビジネスを教える大学の先生が協力する形で続けられています。大規模な調査研究で、お客様の行動を分析し、Jリーグは実際に問題の解決に生かしています。こうした活動を通じて、研究で実務に貢献するという方法を身につけられるのは、いい先生についてるからこそです。また、こうした研究を通じて、実務の側が何に困っているのかを理解することができます。

③ いい先生は優れた実務家ともつながっている
アメリカにいた時に、授業によくゲスト講師が来ました。だいたいが、ゼミの卒業生で、社会に出て大学で学んだことを活かしてどんな成果を挙げたのかを語ってくれました。授業の後に連絡先を聞いて、個別に相談に乗ってもらうこともできました。日本でも、卒業生の話を聞ける機会があるはずです。
また、先生は、セミナーやカンファレンスに登壇する機会もありました。そこでは実務家と同席したり、交流を深めたりすることをしていました。学問と実務と言う違う立場で同じ問題について語るといったこともありました。お互いリスペクトできるような人の繋がりが広がっているわけです。そこから入ってくるリアルな現場の課題を踏まえながら、理論を教えてくれたり、解説してくれたりしました。

では、周りに聞ける人がいない場合に、いい先生をどうやって見つけるのかを整理します。
まずは、研究実績が優れていることです。これはGoogle Scholarという検索を使ってください。自分が知りたいテーマ、例えば、スポーツビジネス、スポーツマーケティング、競技名などを入れて検索するとそれに関係する論文が出てきます。そして、論文で重要なのは「どれくらい多く引用されているか」です。Google Scholarは、この数がすぐに見られます。研究というのは、先にいた研究者がどこまでやっているかを示し、この部分は引用します。つまり、たくさん引用されているということは、他の研究者にたくさん貢献しているということです。たくさんの人に引用されている論文を書いているのが、いい先生ということになります。

他の方法ですと、学会でリーダー格の先生というのは、研究の実績や人柄などが他の先生から認められていると考えられます。日本では、スポーツマネジメント学会など、スポーツビジネスに関係した学会がいくつかありますが、その役員(理事)の名前を調べてみてください。そして、その先生がどの大学にいるのかも調べてみてください。先生の名前を入れれば、セミナーやカンファレンスで登壇していることも調べられます。

私が高校生だった30年前、スポーツについて大学で学べることはほとんどが、体育の先生になることでした。BリーグもJリーグも開幕する前で、今ほど、プロスポーツチームもなければ、街中にスポーツクラブもなければ、ましてやスポーツマーケティング会社など、高校生がその存在を知ることもできませんでした。スポーツを仕事にしたいと思っても、かなり限りがあり、求人もありません。

インターネットもなかったので、調べることが本当に大変でした。私は大学生の時に、本で「スポーツマーケティング」という言葉を知って、図書館でいろいろ調べた結果、それを学ぶにはアメリカやオーストラリアに行かなければならないことを留学情報センターに行って知りました。今は、日本でも学べるいい時代になりました。

今はインターネットで何でも調べられる時代です。オープンキャンパスやSNSでつながった現役の大学生に質問することもできます。自分で納得するまで調べて下さい。

いい先生の下で学んで、大学在学中に大きく成長することは、あなたの人生にとって良いだけではないです。スポーツ業界にとって、世の中にとっても良いことなんです。応援します!