この1週間あまり、ずっと考えているのは、「盛り上がっているとは、何か?」ということです。

「東京の真ん中に住んでいるのに、周りは盛り上がってないよな」と感じて、ふと、2019年秋のラグビーの時の様子が思い出されました。その時と比べて、今は何が違うのかと対比すると考えやすいと思いました。

今の時点で、これではないかと思っているのは、「それっぽい人がたくさん見られること」です。

 

「それっぽい人」とは、例えば、
・いかにも観戦に行きますという格好の人、その国のユニホームを着ているとか(ラグビーの時は、今日どのチームの試合があるのかがこれでわかるくらいだった。グッズは大事)
・海外から観戦に来たのかなという感じの人(ラグビーの時は、渋谷や新宿にもたくさんいました)
・ボランティアの制服を着ている人(運営する側も、誇りに感じているから着ている。今大会前には着られないという切実な声もあった。開幕後、電車内で見かけるようになった)
・IDカードを首から下げている人(上に同じ。運営している側、関わっている側も、誇りに感じている)
・飲食店、パブリックビューイングなどでテレビ観戦している人(スタジアムに行くほどではない人まで熱が広まり、わざわざ行動を起こしている)
・騒ぐ理由として、そのスポーツ大会を使っている人(普段はスポーツにさほど関心がなくても、熱気に加わりたい)

こんな人を多く見かけるようになると、盛り上がっているなと感じるのではないでしょうか。

 

少なくとも2019年秋の時には、それっぽい人がだんだん増えてきて、「盛り上がってきたな」と感じたことを今でも覚えています。
そして、そのような様子がどんどん報道されることで、追従する人も増えていった印象がありました。メディアは増幅装置として機能しました。スポーツ番組のみならず、ニュース、そして情報番組までと、コアな層から次第にライトな層への広がっていきました。

 

精度を上げるために、もう少し考えたいので、他と比べてみます。

まず、「それっぽいモノがたくさんある」では、ダメでしょうか?
会場周辺はきれいに装飾されています。会場近くの駅に、スポンサー企業の広告も掲出されています。スポーツ大会に限ったことではないですが、駅や電車の中などを広告で覆うことは可能です。それを見るだけでは、「盛り上がっている」とは感じないでしょう。

 

「報道が多くある」では、ダメでしょうか?
今も関連する報道はたくさん報じられています。生中継もたくさんあります。また開催都市ではない地方でも、中継はたくさん見られますし、報道も多く出ています。しかし、そこで盛り上がっていると感じたでしょうか。

 

「好成績を上げた」では、ダメでしょうか?
好成績を上げただけでは、気づかれないこともあります。競技によっては、世界選手権で日本代表が表彰台に上がっても、国際総合大会ほどは注目されません。好成績を上げたことが多く報じられることで、話題になっていきます。SNSでもネットニュースの引用で広がっていきます。そこからさらに、「日本、勝った!」などと言って騒いでる人をたくさん見ると、例えばスポーツバーなどで見ると、盛り上がっていると感じるのではないでしょうか。

 

「ハッシュタグがトレンド入り」では、ダメでしょうか?
リアルな体験に比べて、オンラインでは高揚感や熱量が伝わりにくいです。また、文字情報のみで、それを伝えている人の表情が見えないことも多いです。そもそも、SNSは使っている人が限られます。例えば、日本におけるTwitterの月間アクティブユーザー数は約4,500万人(2017年10月時点)とされています。日本の人口は約1億2000万人なので、37.5%に過ぎません。コアなユーザーはさらに絞られます。

 

例えば、パブリックビューイングのような場所だと、人は盛り上がっていると感じると思います。「それっぽい人がたくさんいる」からでしょう。7月23日の新国立競技場周辺には、人がごった返していました。あれを見て、「盛り上がってきたかな」と思った人も多かったのではないでしょうか。「それっぽい人がたくさん見られた」からだと思います。だから、マスコミはそういうところに取材に行くんだなと改めて思いました。

個人のFacebook上で、自分の感覚を投稿してみました。
講師業の方からは「主催者側の熱量、エネルギーがみんなに伝播すると『盛り上がる』ように思います」との声がありました。
大人気イベントの主催者もしている方から頂いたコメントでは、「人の動き、声、表情、エネルギー」という要素が挙げられました。
グッズをデザインする仕事をしている方からは「全く盛り上がりを感じないので、盛り上がりを感じるために(日本代表と同じウェアを)買ってしまいました。グッズの大きな役割を再認識」とのコメントをもらいました。

 

なぜ、こんなことを一生懸命考えているかというと、これが分かると、「盛り上げたい」という人が何をすればいいのかが見えてくるからです。

  • 主催者の熱量が出発点では。心を込めて、イベントをつくる。
  • それはまず運営する側に伝わる。誇りを感じながら、働ける場をつくる。IDカード、ユニフォームが誇らしい。
  • 運営のトラブルも少ない。歓迎されている。それは、選手のパフォーマンスにつながってくる。好成績に結びつく可能性が高まる。
  • 運営する側の熱量と、選手たちのパフォーマンスは、会場で観戦する人に伝わる。観戦している人の熱量と交わって、増幅する。
  • 会場で取材するマスメディアの人の伝えること、観戦する人たちが口コミやSNSなどで伝える内容がポジティブに変わってくる。
  • 共感した人は、会場の外でも気持ちを表現する。ウェアやグッズを身につけたり、騒いだり、集まって見る場所に行く。
  • 会場外の様子もメディアで伝えられる。会場外で気持ちを表現した人は、自分たちのことが認められたような気持ちになる。
  • 街中で見て、メディアで見て、盛り上がりに加わりたい、という人がさらに増える。

大会が終われば、上記のような行動をする機会がなくなります。盛り上がりはおさまっていきます。

これが今の時点での仮説です。これを考えられたことは、私個人ではなく、みんなのレガシーとして使って頂ければ幸いです。