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あまり気づかれていないことかもしれませんが、日本ではスタジアムやアリーナの新設や建て替えが大規模に進んでいます。

2019年10月に、スポーツ庁から発表された資料によると、その時点で52件の屋外スタジアム37件の屋内アリーナの計画があり、建設も着々と進んでいます。

ご存じのとおり、メガスポーツイベントが行われた東京では複数のスポーツ施設が新設されました。沖縄アリーナなど地方でも、できてきています。長崎や北海道など大きなプロジェクトが動いているところもあります。

スポーツ庁のスタジアム・アリーナ改革指針

単に新しいところが増えているというわけではなく、もう一つ大きな特徴があります。
スポーツ庁が2016年に発表した「スタジアム・アリーナ改革指針」によると、「コストセンターからプロフィットセンター」と打ち出しています。つまり、税金を投じて維持するのではなく、イベントの誘致などでビジネスとして継続させられる施設であるべきだとしています。

同庁は、「スタジアム・アリーナ改革ガイドブック」なる、事例をふんだんに紹介して、実践に役立つような資料まで発表しています。

 

スタジアム・アリーナの運営に関しては、とにかくこれまで通りではダメだというのが、自治体、事業者などを含めて共通の認識になりつつあります。

では、そんな新しいフェーズを迎えているスタジアム・アリーナの建設中、もしくは完成後に広報担当者は必要なのかを、私の経験も踏まえながら、考えてみたいと思います。

結論を先に言ってしまいますと、収益化を目指す上では広報担当者は必須だと考えます。

 

スタジアム・アリーナ改革の収益化を目指す上では広報担当者は必須

これまでのように年間の運営で赤字が出たとしても、税金で賄うのなら広報担当者は特に必要がないと考えます。実際、現存するスタジアム・アリーナで専門の広報担当者がいるという話はほとんど聞いたことがありません。

 

理由1:イベント誘致合戦に勝つため

新型コロナウイルスの問題が拡大する前まではコンサートなどのイベントができる会場は需要に比べて供給が少ない状態にありました。それなら、特に頑張らなくても黒字化できるのではないかと思うかもしれません。しかし、施設の数が増えてくるとイベントの誘致合戦になる可能性もあります。

誘致合戦なら広報活動は大事です。またコロナ禍でエンターテインメントは、オンラインイベントなども含めて新たな楽しみ方も提案しており、これまでのようにライブが頼みというビジネスモデルから変わっていくかもしれません。

プロスポーツチームの本拠地に選ばれれば、主催試合が一定数行われるため、稼働率は上げやすくなります。様々なスポーツのプロ化が進み、プロスポーツチームも増える傾向です。しかし、人口が減少をしていくこの国で、ある地域で、どれくらいのプロスポーツチームが存続できるのかはわかりません。

こうした外的要因の予測とは別に、スタジアム・アリーナに広報担当が必要な理由を考えてみます。前提は「コストセンターから、プロフィットセンターへ」です。

 

理由2:多様なステークホルダーを相手にする必要があるから

まず、スタジアム・アリーナは、多様なステークホルダーと関係を結ぶ必要があります。
地域の住民、自治体、スポーツ団体、エンターテイメント等のイベント主催者、建設会社や設備の提供してくれた会社などです。あらゆるステークホルダーと良好な関係を結ぶことは、広報の根幹とも言える仕事です。具体的には、それぞれのステークホルダーに合った説明をする必要があります。理解を得る必要があります。

理由3:情報開示姿勢が問われるから

ステークホルダーと関係を結ぶことに関わりますが、経営状況の説明など情報開示姿勢が問われるものです。例えば、地域の税金を投入しているなら、それがどのように使われているのかという説明は必須です。どんなイベントが行われているのか、どのように使われているのかといった、運営の実態の説明も求められるでしょう。

理由4;営業の支援になる情報発信のため

また、イベントを誘致する助けとしては、情報発信が重要です。広報が直接やるわけではなく、営業がすると思いますが、それを支えるのは情報発信です。過去に行われたイベントの内容を整理してまとめたり、裏側をマスメディアに取材してもらったりすることもできます。

理由5:施設のリピーターを増やすため

施設内で行なわれるものが、スポーツであったり、コンサートであったりしても、周辺地域にリピーターとなるお客さんを持っていれば、かなり主催者を助けることができます。
無論、あるアーティストのファンと地元のスポーツチームファンが重なっているのは一部です。それぞれのアーティストが所属する会社やスポーツチームが、それぞれのファンをひきつけることはやってくれます。
しかし、中には集客力の弱いイベントもあるのではないでしょうか。その場合、地元から集客するサポートができるとイベント主催者は非常に助かるはずです。

実際、アメリカではスタジアム専用のアプリがあり、顧客データの収集やコミュニケーションを行っている事例もあります。私自身も何度か観戦したことがあるアメリカのアリーナから定期的にメールの案内を受け取っています。そこには近く行われるイベントの情報が掲載され、チケットが購入できるリンクが貼られています。

コストセンターからプロフィットセンターになるカギは広報担当者

スタジアムアリーナツアーの実施や施設内で運動ができることなど、リピーターを増やしていくための活動も広報担当者が行うと良いです。

場所を貸して、さまざまなイベントを行ってもらうビジネスは、スタジアム・アリーナ以外にもあります。例えば、美術館やコンベンションセンターなどです。広報担当者がいることが多く、取材の対応や広報誌の発行などもしています。

これまでは黒字化を求められることもなく、それほど頑張らなくても存在し続けられたスタジアム・アリーナ。しかし、コストセンターからプロフィットセンターへ変化する今後は、あらゆるステークホルダーに対して良好な関係を作り続けることが欠かせません。

それを誰が行うのかといえば、広報担当者です。

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