広報担当者にとって、常について回る悩みは、社内から広報のネタになるものをいかに見つけるのかということかもしれません。
ニュースリリースを書いて、自社のホームページに掲載したり、メディアに配信して取材を依頼したりするのは広報の基本的な業務の一つです。そこまでかっちりとしたものではなくても、会社で運用するSNSに投稿するため、気楽に見られる写真や話題を見つけることも求められます。社内報を持っているところでは、そのネタ探しもしなくてはいけません。
どうやってそんなにたくさんのネタを見つければいいのだろうと思うのも仕方ありません。
私がスポーツの記者をやっていた時は毎日、記事になるようなネタを探さなければなりませんでした。その時に、自分なりに作り上げたことを踏まえながら簡潔に説明します。
まず、そもそも、どんなものがネタになり得るのかということを理解して初めて、それを探すことができます。
決算や人事の発表、新サービスや新商品の発表などは言うまでもなく、さすが未経験者でもすぐわかることだと思いますので、もう少し細かいネタになり得るものを紹介します。
事業そのものでないことでも、会社の活動なのですが、真面目に考えすぎると、これがネタだと気づかれません。しかも、どのような社会貢献や地域活動に取り組むのかには、会社の考え方が反映されており、この話題を通じて、そこまで伝わることが大事です。
オープン前の準備の仕方や、新しいプロジェクトを始めるためのチームの頑張りなど、テレビのドキュメンタリー番組や情報番組で、よく見ると思います。有名人の密着映像もそうですが、みんなが知っている部分の裏に何が隠されてるのかは、人間が自然と知りたくなることの一つです。そして、この部分が知られることで、さらに、その人やその会社のことが好きになります。ドキュメンタリー番組風に、自分たちで動画を撮影してみるのと、楽しみながらつくれます。
発表するようなニュースにはならないですが、社員やスタッフの人間性を知ることでその会社の印象ができ上がります。いや、むしろ、社員やスタッフの人間性がお客様に好かれているので、そのビジネスが成り立っているのです。しかし、これらは、実際にその人たちに触れてみないとわかりません。社員やスタッフの人間性が伝わるようなコンテンツを見せるのは、選ばれる際のお客さんの興味や安心感につながります。人間性が垣間見えたちょっとしたシーンの写真や動画のストーリーは、SNSに非常に向いているネタです。
経営理念のように、会社が大事にしている価値観が現われているのが、社内文化です。例えば、社員の運動会のような毎年必ず行っている行事には、家族を含めてコミュニケーション、一体感をつくるといった大事にしている価値が反映されています。表彰制度には、表彰する対象や基準が社内で何が大事にされているのかを反映しています。
特にスポーツビジネスの場合、スポーツのイメージと直結するような社内文化は分かりやすく伝わると思います。例えば、社員の健康づくりに役に立つような社内の仕組みや制度などが挙げられます。
部署やグループ単位で進捗状況や現状把握を目的とした定例会議が行われていませんか。そうした場では、新しい動きは何があるのかやどこまで話が進んでるのかを把握しやすいです。また関係者が一同に会する場なので、何か聞きたいことがあれば、そこで尋ねると、一度に把握できます。人が集まるその場での雑談から、ちょっといい話が得られることもあります。
これは会社の組織が大きくなってきた時に有効です。特に支店や事業所をたくさん持っているケースだと、本社にいる広報担当がそれ以外の場所のすべての情報を把握することは、非常に難しいです。そこでエリアや部門の単位で、SNS担当を指名して、その人にネタを集めて発信する権限を与えます。そうすると、正式に本社に連絡が来るような取り組み以外のちょっとしたエピソードなども集められます。
特に最近の若い世代は、SNSで発信することにプライベートでも慣れているので、素地ができ上がっていることが多いです。プライベートな発信と公式の発信の違いをしっかり教育することは必要です。
マスメディアが求めるのは社会性です。今の社会を反映しているのかどうか、社会にとって大事なのか。これがあれば、ニュースとして取り上げられます。
例えば、その会社にとってだけ新しいことではなく、日本全体で見ても珍しいことは、社会的に意味があります。
また、、今の世の中で問題になっていることも社会性があります。環境問題のような世界的な話題もありますし、日本だと少子高齢化やダイバーシティ活用などがあります。
そこまで大きなテーマでなくても、今の時点、その時点で、人々が話題にしているようなことも、社会を反映しています。例えば、猛暑に関することや、その対策です。年中行事や季節を感じさせる話題は常にあります。
広報ネタを見つけることは難しいと感じるかもしれませんが、接点をを広げ、社内外の活動や人々の努力に注目することで、数多くの面白い素材が見つかるはずです。日々の業務の中で、「当たり前」と感じていることも、外部の人々にとっては興味深く映ることが多々あります。広報担当者としては、常に「誰に何を伝えたいのか」を意識しながら、ネタを集め、適切なメディアで効果的に発信していきたいものです。
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スポーツPRプランナー ®
Sports PR Japan 株式会社 代表取締役
13年間の記者経験と米国留学を経て広報に転身。日本ブラインドサッカー協会で初代広報担当として認知度向上に貢献し、PR会社でのコンサルタント経験も豊富。スポーツビジネスに特化した広報支援を展開し、メディアとクライアントへの深い理解を基に、ブランディング強化や認知度向上をサポート。スポーツ関連団体や企業に対する柔軟な対応で、成長を目指すスポーツ関係者から高く評価されている。