サマークラスが始まって、テキストを読む課題やプロジェクトが与えられています。

2つのクラスともに、学生がよく口にしている言葉が「これって、スポーツに関係ないんじゃない?」。

たしかに、戦略論や組織行動論の名著である論文を読まされたり、マイケル・ポーターのバリューチェーンやファイブフォース、ヘンリー・ミンツバーグの戦略の定義などが、教授のパワーポイントに織り込まれていたりします。(誰?と、わからなくても気にせず、このまま読み進めてください)教授はスポーツ界の例を挙げて説明してくれるので、わかりやすくしてもらっているとは感じますが。

スポーツマネジメントという学問は、「スポーツ業界に特化した経営学」ということです。 したがって、経営学の学びを深めることも、スポーツと同じくらい重要です。実際、教えてくれている教授たちの論文には、スポーツとは関係のない経営学の論文からたくさんの引用がなされています。

「私は理論や研究ではなく、スポーツの現場で働きたいから、そんなのいいでしょ」と話していた学生もいました。でも、ちょっと想像したほうがよいことがあります。

インディアナ大学は、体育学部の中にスポーツマネジメント専攻が用意されていますが、アメリカではMBA(ビジネススクール)の中にスポーツマネジメント専攻がある学校も、かなりあります。そこでは半分くらいの単位はMBAの学生とともに学ぶそうです。また、インディアナのMBAで学んでいる日本人の友人の話では、彼らのクラスメートの中にもスポーツ業界で働くことを目指している人もいるそうです。先学期のスポーツファイナンスのクラスに一人、MBAの学生が選択科目として受けに来ていたのですが、彼のファイナンスの知識はそれはもう圧倒的でした。スポーツの分野よりもビジネスを徹底的に学んだ学生や、スポーツとは違う業界でビジネスを徹底的にやってきた人が、実際にスポーツの現場で働くときには同僚、ライバルになります。その時に勝負できるのか、少なくとも話についていけるのか、ということは意識しないといけません。

日本ではどうでしょうか。僕の知っている範囲では、プロ野球の千葉ロッテや楽天が短期間で経営的な成功を収めたのは、スポーツ業界ではないビジネスで実績を残してきた人をリクルートしてきたことが、大きな要因だったと聞いています。それから、サッカーなどほかの競技でも、実業団を引退後にその会社で普通にビジネスマンとして活躍し、その経験を元にスポーツ界の改革を成し遂げた方も少なくありません。

僕自身は学部時代に経営学を専攻したくらいの関心は持っていたこと。記者の仕事でどっぷりとスポーツに浸っていた分、バランスをとるために普段の生活では、スポーツの本はまったくと言っていいほど読まず、代わりにビジネス書や経営者の人物モノなどを読んでいました。そして、30代になってからは、1日や短期のビジネス講座などに顔を出してビジネスマンと交流し、「彼らと自分は何が違うのか」を考え続けて蓄積してきたことが今、役に立っていると感じています。論理的思考力とか、数字(統計や会計)は全然弱かったし、ビジネスの共通言語を知らないと話が進まないこともあり、悔しい思いをした後で少しずつ補強してきました。それでもまだ足りないので、今大学院で勉強しているわけです。

クラスの中には、現役の体育会の選手(学部生の時に1年間登録しなければ、大学院1年でもプレーできる)や指導者を目指している学生もいて、それでもマネジメントを学んでいます。

スポーツ大好き!というだけでは、スポーツマネジメントの世界では駄目なんですね。それを改めて感じている日々です。