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もし僕がスポーツマネジメントの講師をするなら

11.6.23

某ベストセラーのタイトルみたいですみません。

学期の初めというのは、教授がどんな教え方をするのかと注意深く見て、いろいろと感心することがあります。3学期目となり、これはいいな、と思う教授の振る舞いなどが自分なりにまとまってきたので、書いておこうと思います。自分が学部を卒業したのは十数年前なので、最近も日本は変わってきているのかもしれませんが、アメリカ式が参考になる点もあるかと。

(1)名前とプロフィールをすぐに覚える努力をする

この大学でクラスを受けて一番すごいなと思うのは、最初のクラスで先生が全員の名前を覚えてしまうことです。大学院なので、クラスの規模が最大でも30人ちょっとということもありますが、中には同じ名前の人もいたり、発音の難しい外国人もいたりするのに、覚えきっています。

そのため、ほとんどの教授が、学生に紙を配ってプロフィールを書くように求めたりしています。以前にこのブログでも「スポーツ関係の人が使える自己紹介」で書きました。プレーするスポーツ、好きなスポーツ選手やチーム、スポーツ業界でのインターンや働いた経験などは必ずといっていいくらい書かされます。

なぜ、こういうことをやるのかというと、学生の個性をクラスの中で生かしていくためです。最初のころは、学生がお互いの特徴をわかっていないので、教授が振っていきます。たとえば、教授がNFLの例を取り上げたら、「そういえば○○は、コルツでインターンをしていたよね。実際、どうだった?」のようか感じです。僕だったら、「同じようなことは日本でもあるの?」とか。そのうち、学生が自主的に自分の得意分野について発言するようになります。教授の頭の中だけでなく、学生一人ひとりの経験や発言もクラスの財産であるという考えです。

(2)シラバスを公開し、さらに時々修正する

最初のクラスで必ず配られます。クラスの目的、スケジュールと講義内容、評価の仕方、クラス内でのルール等が書かれています。スケジュール何月何日に何をやるかまで明記されていますし、評価も、小テストやレポート1回の点数の配分が書かれています。

これは要するに戦略です。現時点を把握し(上記の学生プロフィールと関連)、クラスを終えた時点での到達地点をはっきりさせ、どういう過程を経てそこに持っていくかというのをはっきり示しています。到達させられなければ、教授のプロジェクトは失敗ということにもなります。

従って、クラスの理解度や進行具合を見て、中間テストを遅らせるなど、スケジュールの変更が行われます。教えるのを1回分カットせざるを得ないこともあります。それでも、目的をきちんと果たせているのかとはにらめっこです。

 

(3)ケーススタディーを使う

過去に、実際に起きたケースの資料を読み、自分がその立場だったら、何を根拠にどう判断するのかを考える勉強法のことです。

ハーバードビジネスレビューという雑誌が日本でも売っています。ここのアメリカのウェブサイトに行くと、大学のクラスで使えるケース(実例と問い)が販売されています(登録制ですが)。その中には、スポーツビジネスに関連したものも結構あり、これまでのクラスで6本学びました。シャラポワ選手のスポンサーを考えたり、ソニーとFIFAのスポンサーシップを分析したり、VANSというスポーツメーカーの戦略を考えたりしました。実例なので、自分でいろいろ調べたりもできますし、その後どうなったのかも知ることができます。この課題は必ず一人でやることになっていて、クラスで学んだ基本のフレームワークが身についているのかを見られるのと、分析力や発想力など仕事をしていくうえでの頭が問われます。

こういうのを日本語に翻訳して使えたら、多くの学びがあるだろうと思います。スポーツではないビジネススクールの場では強化方法として、ごく当たり前にやっていることです。日本でスポーツマネジメントを教えているところで、どこかやっていますか?

 

(4)グループワークを取り入れる

クラスで学んだ理論やフレームワークを実際に応用できるかを見るために、グループワークでの発表というのがよくあります。これは、他の人の見方を知ったり、自分の解釈を話したりする中で、ひとりでこつこつやるのとはまったく別の学びが得られます。

また、自分で働いた経験からすると、グループで活動することは非常に重要です。メンバーのさまざまな個性を考える必要もありますし、わがままな人もサボる人もいます。その中で自分をコントロールし、グループをよい方向に持っていけるかは、仕事の日常でもあります。留学だと、これを異文化の中でするわけで、非常に鍛えられます。僕自身はグループワークを通じて、相手の人柄を知り、仲良くなった人が結構います。

 

(5)「横から目線」で教える

日本だと教授が目上で、その人の知っていることを教えていただく、というスタイルが多いかと思います。しかし、中には学生のほうが詳しいこともあります。

例えば、クラスでブランドイメージを勉強していたときのことでした。そのクラスにはゴルフのプロコーチをしている40代くらいの生徒がいて、キャロウェイはこう、ナイキはこう、ヨネックスはこう、というように非常に納得感のある説明をしていました。教授もそのあたりは、なんら恥じることなくバトンを渡すわけです。ある特定の分野では学生のほうが詳しいこともある、という謙虚さの表れはすごくよいと思います。英語が日本語に比べてフランクな言語であるということも多少関係しているとは思いますが。

 

僕は学生時代に塾で中学生を教えていたこともあり、今でも人にわかりやすく教えることに非常に関心を持っています。このブログでも、たまにそんな感じで書いたりしてます。要望があれば、スポーツマネジメントを教えてみたいです。

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