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『最先端』は富裕層ビジネス?

11.10.10

しばらく更新できなかったら、読み手の数が急に減ってしまいました。コミュニケーションが減る寂しさを味わったので、奮起して書いています。

今回は1枚の写真から話を始めます。

野球のシーズンが佳境に入っていますが、これは少し前にヤンキースタジアムに行った時に撮ったものです。食べ物(フレンチフライ)の売店の価格表なのですが、ちょっと普通のとは違うことにすぐに気づきますよね。そうです。カロリーが表示されているのです。野球観戦のお供といえば、ビールにポップコーン、ホットドック、ハンバーガー、ナチョスなど、いかにもカロリーの高そうなものばかりです。普通に考えるとカロリー表示を見たら、買うのを控えてしまいそうな感じがします。しかし、ここでは、わざわざカロリーを表示しているわけです。なぜだろうか、とこれを見た後、しばらくの間考えました。

これというきっかけがあったわけではないのですが、ハッと気づきました。アメリカでは、健康への意識の高くてそれを実現できる人と、裕福な層はかなり重なるのです。逆に言うと、収入の低い家庭では、(1)車を持っていないので、郊外の大型スーパーに買い物にいけない。野菜や果物は重い。(2)親も含めて、栄養学を学ぶ機会に乏しい。(3)お金がかかるので、スポーツ活動などのプログラムに関われる機会が少ない。などが調査の結果わかっています。(英語の文献ですが、これや、これを参照してみて下さい)

そういえば、クラスのケーススタディーの中で、子供の肥満問題への対策として、スポーツの機会や栄養の基礎知識を無料で提供するNPOが何度か紹介されていました。その時は今ひとつピンと来なかったのですが、貧困と不健康が結びついているという上記の問題が存在しているから、必要だということです。

 

話を野球ビジネスに戻します。MLBはこの10年ほどの間で観客動員はほとんど変わっていませんが、収入は2倍に伸ばしています。(見やすいグラフを探して、リンクしておきました)。95年あたりまでさかのぼって比べれば、収入はもっと増やしています。その理由は、日本などの外国に市場を広げたこと、またそれと深くかかわっている衛星放送やインターネットなど新たな収入源を得たこと。そして、新しい球場が数多く建設され、スイートルームなど付加価値をつけた値段の高い座席が増えるという流れがあったと考えられています。要するに、球場では客単価を上げたわけです。昨年オープンした新ヤンキースタジアムは、そうした新球場建設の流れと、チームが元々持っているブランド力を合わせると、ある意味頂点と言える存在です。もちろん、チケットの値段もMLBで一番高いです。

高いものを売るには顧客もそれなりの収入を得ている人がメインになります。これはMLBに限ったことではありませんが、プロスポーツのスポンサー企業には銀行や保険会社と自動車メーカーが目立つのには、こうした背景があると考えられます。顧客層が重なっています。

収入を増やした球団は、その分を質の高い選手の獲得に費やしたり、観客がより楽しめるような設備に投資したり、球団職員の増強やサービス向上に回していると思います。スポーツ産業が成長著しいと言えるのは、こういう一面があると考えられます。

その一方で、プロスポーツを楽しめるのは裕福な層だけになってしまうのかな、という寂しさも個人的には感じています。最先端にわざわざ『』をつけたのは、これだけがスポーツが伸びていく方向性だとは信じたくないからです。

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