いつも書いているように、僕の住むブルーミントンは田舎です。

人口は7万人ほどで、うち5万人が大学の学生や職員と言われている、典型的なカレッジタウン。ちょうど2年前の今頃、出願した大学院からポツポツと合否の知らせが届きました。候補の中から、どこかひとつに行き先を決める時、大学で学べる内容はもちろんですが、都会の学校に行くのか、田舎の学校に行くのかも結構重要な基準になると思います。僕は、都会に住むと、お金をたくさん使ってしまうことと、現実逃避で日本語に触れる機会が増えてしまいそうな気がしたのと、もともとの生まれが田舎なので、迷うことなく田舎の学校を選びました。

気がつけば1年8ヶ月が過ぎ、ここでの暮らしにもすっかり慣れました。そして、住みながらスポーツビジネスを学んでいるうちに、この街の、自分の周りにあるビジネスというのがよく感じ取れるようになってきたと思います。

例えば、街にはいくつかのアジア料理のレストランがあります。中国人、韓国人の留学生が何千人といるので、需要はあります。特に最近は中国からの学生が増加傾向にあり、それに伴って、中華料理のビュッフェ(定額料金で食べ放題)の新規オープンがあったり、改装があったりしています(ニーズ、新規参入)。キャンパスの近くなら、値段が多少高くても、便利なので客が多く来ますが、遠い店は品数を増やしたり、値段を下げたりしています(ポジショニング、競合)。アジア系のスーパーが何店かあり、そこで売られるものにも変化があります。例えば、学生数の変化に伴って、日本のモノが減って、中国系のモノが増えるとか(仕入れ、物流)。田舎のわりにはアジアの食べ物が充実しているとは思いますが、それでも、日本人である僕は、おいしい日本食がないなぁというような不満を抱えています(潜在需要)。たまに冗談で、和食の店を開いたら勝てるんじゃない、なんてことも言ったりします。

ほかの学生に聞いたところ、地元のビジネスは、クラスでの教材にもたまに使われているそうで、オーガニック食材店のPRプランを考えるだとか、花屋のマーケティング的な分析をしてプランを提案するというような課題は日常的に行われているとか。

 

少し観点は違いますが似たようなことは、スポーツビジネスの現場でも感じ取ることができます。

僕がひとつ、これはと思ったのは、大学のサッカーにおけるプロモーションにおいてでした。

インディアナ大学の男子サッカーは全米王座7回とかなり強いのですが、集客には少々苦労しています。アメリカにおいては、フットボールとバスケットボールの人気には遠く及びません。そこで、集客のためのアイデアとして、「全米で最もエキサイティングなサッカーのハーフタイム」と少々大げさな名前をつけて、出来立てのピザがデリバリーされて、学生の間で争奪戦が繰り広げされます。もちろん、無料のプロモーションです。

(こんな感じの車が横付けされ、ピザをゲットした観客は大喜び!)

もちろん、この企画のためにピザ屋は大学スポーツのマーケティング部門に対して、スポンサー料を支払っています。このピザ屋はこの町にしかないチェーンなので、地元の人のお金で経営が成り立っており、スポンサー料はその一部から出ていっていると考えられます。店は、スポンサー料と同じくらいの金額を広告に使うこともできるし、還元するなら割引券を街頭で配ってもいいと思います。

でも、ここでスポーツが一枚咬むと何が変わってくるのかを感じることができます。すなわち、ビジネスの中に、スポーツのスポンサーシップがどう関わっているのかが、小規模であるからこそ、よくわかるのです

例えば、

○ピザ目当ての観客を呼べる

○ピザ屋が新しい顧客にリーチできる

○ピザ屋の印象がよくなる

○ピザ屋の名前が観客の記憶に残る

○サッカーの試合のことも記憶に残る

○わくわくする時間を与えられる

○また来たくなる

などなど。

スポンサー、スポーツの両方にメリットがあることがわかります。ピザ屋の顧客のうちかなりの割合が大学生でしょうから、お金の流れとしては、この小さな街の中でぐるりと回っているだけです。しかし、スポーツが関わることで、単なる社名の広告や無難な割引よりも、増幅して強力に人の心に影響を与えられている可能性が高いです。

大都会では、超人気チームの試合会場に行ってもさまざまなことが複雑に入り組んでいて、このようなことは見えにくいかもしれません。別の発見は当然、あるとは思いますが。

「田舎の学校を選んでよかった!」と、思うこともあるんですよ。