スポーツ業界で働きたいという若者は後をたたず、昨今は日本の様々な大学でスポーツビジネス専攻というようなコースが設置されたりしていますが、これも希望者が多いからでしょう。Bリーグも開幕しましたし、私が就職活動をしていた頃にはなかったようなスポーツに関係する仕事が、随分と増えました。食べられる人が増えてきているのは、産業化が進んでいるわけで、よかったのではないかと思います。ただ、この20年でスポーツ産業が大きく成長したアメリカに比べると、日本は市場が縮小しており、全然だめだという評価をせざるを得ません。

たまにそういう若手社会人と話をすると感じるのは、自分がスポーツをいかに好きかについては熱く語れるものの、じゃあ、どんな職業技術にお金を払ってもらうのかについて、明確ではない人が多いです。ひどい場合は、すでにスポーツ業界で働いていて、寝ている時間以外ずっとスポーツに触れられていることだけで満足し、技術向上を怠っている人もいます。

今の日本のスポーツ界を「食べられる世界」に変えているのは、スポーツ業界以外で職業技術を徹底して磨き、それをスポーツ界に持ち込んだ人です。たとえば、プロ野球チームには、セールスが得意な人や、マーケティングが得意な人や、マーチャンダイジングが得意な人が転職してきて、その職業技術を発揮し、球団の売り上げをアップし、さらにお客さんを呼ぶために投資したり、スタッフの雇用を生んだりしています。逆に、何でも屋さんが多いようなチームは成長に苦労しています。

私の知り合いの中に、顧客対応や気配りが素晴らしく、スポンサーセールスを得意としている方がいます。その人は、「運動神経がない。プレーなんてしたことない。実は、スポーツ全般的に試合をほとんど見たことがない」と言って憚りません。一般的なものさしで、その人は「スポーツが好きなのか?」と言われれば、絶対に違うと断言できるレベルです。でも、その人が関わるスポーツにお金をもたらしているのは間違いありません。業界で磨いた技術をスポーツ界で生かしているだけです。私自身も「書ける」「話が聞ける(インタビュー)」という技術が得意分野であると思ったので、記者と言う仕事に就くことができ、それを伸ばして、情報の編集や広報という技術に発展させています。ここを伸ばしていかないと、自分が創れる違いも限られてしまうので、常日頃から意識しています。

大学生や比較的キャリアが浅く、将来はスポーツ業界で働きたいという人が、例えば「この会社はJリーグのスポンサーをしているから」というような考えで仕事先を選んでしまうのは、非常に勿体無いです。自分の適性、得意なものとして磨くべき職業技術は、働きながら自分の手ごたえや周囲の評価で固まっていくものですが、就職活動や転職活動においても、ある程度は考えて臨んでいると思います。それを鍛えられる環境に身を投じ、力をつけたというタイミングでスポーツ業界に入ることを強くお薦めします。