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SPORTS PR JAPAN スポーツPRジャパン

このところ、スポーツに関わるビジネスを行う企業だけでなく、プロスポーツチームも理念を策定し、公表するようになってきました。今シーズン開幕前にはプロ野球の千葉ロッテマリーンズが、それ以前には、Jリーグの名古屋グランパス、Bリーグの広島ドラゴンフライズなども発表しています。今シーズンのスローガンを発表するチームはずいぶん前からありましたが、理念はそれとは違います。
定義を私なりに表現すると、長期的なスパンで、自分たちの組織が何のために存在するのか、何をしようとしているのかをわかりやすく言語化し、共有できるようにしたものです。組織内部の人間のためでもありますし、組織の外の人と関係を結ぶのにも活かされたりします。ビジネス界では、リッツカールトンのクレドが代表例として知られています。スポーツ業界も従来は、成績に一喜一憂していただけだったのが、理念という土台をしっかり築くことでよりよい経営となり、それが結果に繋がってくるという形に変わりつつあります。

 

理念の策定は、PRの仕事の一部です。私もPR会社時代には外資系企業に買収されたある日本企業の理念をつくる案件に携わったことがありますし、独立直後に頂いた大きな仕事がプロリーグ(Tリーグ)の誕生により存在意義に危機感を覚えた日本卓球リーグ実業団連盟の「あり方」(活動指針)を制作することでした。私が理念の重要性を信じるようになったのは、ほんの数人しかいなかった日本ブラインドサッカー協会という組織が、理念の力で人々を巻き込み、成長していくところを共に歩んだことが大きいです。他の組織でもできるはずだ、というのが、スポーツに関わるPR会社を創業した理由の一つでもあります。

 

実感していることは、理念において大事なのは策定ではありません。言葉を紡ぎ出して、制作物に落とし込んで終わりではありません。お飾りのようになってしまっている会社はたくさんあります。日々、実現していくことに本当の意味があります。口だけじゃないのか、本当にやっているのかという話です。私も策定するためのノウハウの引き出しは持っているのですが、実現させるのは本当に大変だと思っています。実現させる上での技術がまだ足りないと思っており、現在、専門家が主催する講座で学んでいるところです。自分の会社の理念を作りたいのではなく、お客様の組織において理念を策定し、それを実現する部分をコンサルティングでもっと深く関われれば、スポーツ業界もよりよいものになっていくと信じています。例えば、あり方が定まれば、騒動や不祥事はもっと減るはずです。

 

では、どうすれば理念を実現しようと動いてもらえるのでしょうか。過去の仕事を振り返ってみると、例えば少人数のグループを引っ張って、自走していくようにする状況でメンバー巻き込んでいった時のことを考えてみました。まず、自分が本気でそのことに向き合っているということが伝わらなければなりません。自分を見つめ直し、覚悟を持っているかと自らに問う。そして、常に気にかける、異論反論が出れば受け止める、あり方に沿っているのかをチェックする、その上でいろいろなことを修正していく。体を張って、自分に負荷をかけてやり切るしかない。そんな経験が思い出されます。

そうだとすると、スポーツと理念の実現は相性がいいのではないかと思い始めています。口で言っているだけではダメで、理屈をこねていてもダメで、体を張ってやっている姿を見せること。それは身体性です。また、それを支える覚悟も必要です。仲間と声を掛け合い、頼ったり、頼られたりする。スポーツに携わる人は、そうした経験のある人が多いです。「うちらしいサッカーができているのか?」などという話は、高校生の部活でも問われたりしています。勝ち負けやタイム、どんな戦い方かなど、理念が実現できているのかを目に見える形で問われることにも慣れています。冒頭に書いたようなプロスポーツチームが理念を実現できているかどうかは、ファン、スポンサー、地元関係者、マスメディアなどに常に見られているわけです。批判もあるでしょう。覚悟も負荷も大変ですが、それを日々続けていれば、あらゆるステークホルダーとさらによい関係になっていきます。

まだ、私も整理し切れているわけではありません。さらに多くの組織と関わって、実現してもらいながら、このテーマについて考えていきます。

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