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違う方向に3歩歩いてみる

11.6.14

前回投稿から少し時間が空いてしまいましたが、もう1回、学会に関係した話です。

学会に行ってみたいと話したときに「働きたいって言っているのに、なんで学会とかに行くの?」というシンプルな質問を、教授や友人から聞かれました。一番大きな理由というのは、「違う方向に3歩歩いてみる」ことが結構大事なんじゃないかと信じているからです。

「今の方向でがんばろう」という気持ちが湧き上がってくるのか、「違う方向でも思っていたよりも行けそうだ」と思うのかを、現場を味わうことで試してみるということです。

これに気づいた、というより気づかされたのは、スポーツ記者を目指して就職活動をしていたころにさかのぼります。十数年前ですが。

当時、いくつかの会社では、スポーツ記者と一般記者を分けて採用していました。僕はもちろんスポーツ記者で出願し、ある会社でなんとか最終面接まで残りました。重厚なつくりの役員会議室で幹部クラスがずらっと並んだ雰囲気に飲まれそうになりながら、必死に受け答えした時間の後、真ん中に座っていた一番えらそうに見えた方からこんな一言が発せられました。「○○君の興味の範囲はスポーツにとどまらず広い。スポーツ記者ではなく一般記者で頑張ったらどうか」。それで内定ってことかと思ったら、「じゃあ、来年また」と付け加えられましたが。

その後も面接に落ちまくって就職浪人となり、自信も方向性も見失っていた僕は、ひとまずこの経験豊富な方の助言を聞いてみようと思いました。違う方向に歩いてみよう、ということです。幸い、就職活動で親しくなった仲間には一般記者で内定していた人もいて、彼らにどんなことをしていたのか聞きました。不慣れながら僕も、憲法について考えるシンポジウムとか、アフリカの子供たちの写真展などに連れて行ってもらいました。大好きな雑誌「ナンバー」を買うのもしばらく我慢しました。

ただこういう頑張りを続けても、自分でも無理しているのがわかったし、もっと知りたいという欲求や、自然と自分の意見が沸いてくるようなことが全然ありませんでした。およそ4ヶ月続けた結論は「この方向で頑張っても、人様のためにお役に立てるところまでは至らない」。そのころ、友達に誘われてラグビーの早明戦を見に行って、久々にスポーツを味わいスカッとすると、「やっぱり、スポーツの世界で頑張ろう」という気持ちは固まりました。

3歩どころではなかったかもしれませんが、違う方向に歩いていってみることで自分の気持ちを確かめました。ゆるぎなく腹をくくったことが、その後の内定につながり、入社後の頑張りを支える土台となったと思っています。

 

これとは逆に、違う方向に歩いてみて、行けるかも、という感覚が得られることもあります。

僕の場合はビジネス講座に通ったことです。1日講座だとお金も、時間もそんなにかかりません。マスコミ関係、しかもスポーツ専門の人がそんなところに行くのは珍しかったようで、違う方向に進んでみて試している状態だったと思います。スポーツ取材の現場で市場分析だの戦略だのは考えたこともありませんでしたが、フレームワークを使うことなどは思っていた以上に興味深く、スポーツ界にあてはめて考えたりしていると、「この方向にいけるかも」という手ごたえがありました。それが大学院でスポーツマネジメントを学ぶことに発展していきました。

器用な人は、人から聞いた話や情報収集の結果、また論理的に考えてスパッと決められるのでしょう。僕の場合は、自分の感性を信頼しているので、実際体験して自分がどうなるか感じてみないと大事な決断は下せないタイプです。比較的最近の例では、大学院の行き先を決める時には5校を実際に回って、教授や学生と話したり、街の雰囲気を味わってから決めました(そのうち何校かは落ちましたが)。お金と時間はかかるのですが、決めた後の前向きさが全然違うと感じています。それは後々大きく影響してくることも経験でわかっています。

初めて学会に行ってみた結論として、自分は理論を突き詰めるより、実践にどう取り入れるかの方に興味があり、やっぱり現場で働きたいという気持ちを固めました。迷いはもうありませんね。

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