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ソーシャルメディア記者の衝撃

11.11.3

11月に入りました。例年なら、NBAシーズン開幕というわくわく感に包まれる時期ですが、ことしはNBAは労使交渉が続いており、現時点ではシーズンの開幕が12月からという残念な事態になっています。

そのNBAの中でも、ソーシャルメディアを上手に使っていることで知られるフェニックス・サンズが、なんと「ソーシャルメディア記者」を募集しています。この話は、僕のように従来メディアにいた人間からすると衝撃です。クラスメートから、教えてもらった話です。

(サンズのオフィシャルページより引用、画像をクリックするとジャンプします)

今は、メディア組織に所属する人間やフリーランスのライターが取材の傍ら、ツイッターアカウント上でも情報発信をしていくというのがよくある形です。しかし、サンズは違うスタイルがあるのではないかと気づき、それを目指しています。ソーシャルメディア上の試合中のファンのコメントなどにどんどん絡んでいったり、テレビを見ているファンからの疑問を監督や選手にぶつけていったり、試合中の場内アナウンスや中継放送などにも参加していく、要するに、ソーシャルメディア上のファンと、現場を結ぶ核となる人間のようです。

まだ実際に行われているわけではないのですが、想像すると、試合観戦がもっと楽しくなりそうなのは間違いありません。たとえば、自分が疑問に思ったことを、試合直後のヒーローインタビューでリポーターが代わりに聞いてくれたら、楽しくないですか? しかも、何日も前に用意されたものでなく、試合中に疑問に思ったことをですよ。

今、新聞、雑誌、放送、ネットなどで見ることができる通常の取材は、記者一人のセンスに頼ります。ファンはこういうことを知りたいだろうと予想して、質問をしていきます。経験を積み、勉強もしている、鋭い観点があるでしょう。ただ、ひとつ弱点があります。記者が一番困るのは取材相手と関係が悪くなって、出入り禁止などの取材できなくなることです。情報が入らなくなったら、記者として機能しません。したがって、相手が怒りそうなことは、聞けないことがあります。特に、番記者と言って、ひとつのチームや競技を追いかけている場合は致命傷です。

しかし、ファンを代表して聞くソーシャルメディア記者なら、自分の考えではないので、思い切って質問してしまうかもしれません。また、しがらみなどいろいろなことを知りすぎた記者とは違う、ファン目線の疑問というのもあると思うし、ソーシャルメディアなら、何人がそう思っているのかというのもはっきりわかります。

さらにいうと、ソーシャルメディアを通じて、試合に参加できていると感じることが、ファンをさらにのめり込ませることになるのは明白です。このブログでも過去に書いていると思いますが、安定したチーム経営のためには、コアなファンを増やしていくことが最優先課題なのです。ソーシャルメディア記者を通じて、単に多くの情報を与えるという今までのメディアとは違う関係が深まっていくわけです。

NBAが開幕したら、注目していきたいネタの筆頭です。従来型メディアはますますメディアの「ワンオブゼム」になってしまうなあ、と思うと同時に、双方向性、即時性の流れは止められないなあ、とも思います。なぜなら、その方が面白いからです。

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この記事の執筆者

早川 忠宏

早川 忠宏 | Tadahiro HAYAKAWA

スポーツPRプランナー ®
Sports PR Japan 株式会社 代表取締役

13年間の記者経験と米国留学を経て広報に転身。日本ブラインドサッカー協会で初代広報担当として認知度向上に貢献し、PR会社でのコンサルタント経験も豊富。スポーツビジネスに特化した広報支援を展開し、メディアとクライアントへの深い理解を基に、ブランディング強化や認知度向上をサポート。スポーツ関連団体や企業に対する柔軟な対応で、成長を目指すスポーツ関係者から高く評価されている。

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