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競技間連携から業種間連携へ

18.5.9

2月下旬としばらく前のこととなりますが、アメリカのボストンで毎年開催されているMIT Sloan Sports Analytic Conferenceに行ってきました。スポーツのカンファレンスでは世界最大級と言えるもので、今回は3500人以上が参加し、熱気に包まれていました。そこで示されているのは、スポーツのエコシステムというか、スポーツ業界が現状どうなっていて、どういう方向に行こうとしているのかということです。

特徴的なことの一つが、業種を超えて連携しているということです。プロスポーツのチーム、分析を行う大学、データを収集・分析できる機材を提供する企業、場合によっては軍(軍は、兵隊のメンタル面のケアや負傷からのリハビリなどが重要なテーマ)、また国の研究機関も絡んで一つのプロジェクトに取り組んでいるものがいろいろとありました。それぞれが持っているものを提供し、成果も分け合う。それによって業界が発展していく、進化が加速していくという仕組みが、ごく当たり前のものとして、そこにあります。

日本では、まだ単独でやっているケース、2者が絡むケース(チームと大学、チームと企業、国と大学など)が多い印象で、まだまだ業種を超えたうねりというところには至っていません。場づくりというか、危機感のようなものは徐々に感じられています。

 

2004年アテネ五輪以降、日本はメダルの数を増やし、スポーツが勢いを取り戻しました。その頃、強化の立て直しのキーとして、さかんに聞かれた言葉の一つが「競技間連携」でした。

2001年に国立スポーツ科学センターができたこと、国を挙げての強化の仕組みを研究したことなどがその一つです。そして、2007年にナショナルトレーニングセンターが竣工して、その流れが加速します。食堂や宿泊施設を含め、それぞれの競技のトップクラスの選手やコーチが顔を合わせる機会が増え、自然と友達になり、お互いに学ぶようにもなりました。当時は、次期リーダー候補だった各競技団体の強化部長や代表監督クラスの人材が、今は60代で会長や専務理事など、それぞれの団体のリーダーになっています。その横のつながりがもたらしたものも大きいです。その連携と直接的な因果関係があるわけではありませんが、2013年の秋に東京オリンピック・パラリンピックの招致にも成功し、2020年のその場は間違いなく「競技間連携」の時代の集大成になるものと考えられます。

2020年以降は日本でも「業種間連携」が主流となるでしょう。なぜなら、これをやらないと外国に勝てないからです。

ただし、業種間連携は、競技間連携よりも大変です。単純に言っても、関わる組織の数が増えれば、調整には手間が掛かり、合意形成も困難です。同じスポーツ界での中でなら、ギャップが少ないかもしれませんが、スポーツ組織、企業、大学、国となれば、いる人材の気質も違えば、意思決定の方法も違えば、お金の回し方も全然違います。この道のりは困難を極めます。この国では、小規模でしか起こらないかもしれません。

スポーツ業界に携わる者として、すでにいくつかの動きを始めています。

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この記事の執筆者

早川 忠宏

早川 忠宏 | Tadahiro HAYAKAWA

スポーツPRプランナー ®
Sports PR Japan 株式会社 代表取締役

13年間の記者経験と米国留学を経て広報に転身。日本ブラインドサッカー協会で初代広報担当として認知度向上に貢献し、PR会社でのコンサルタント経験も豊富。スポーツビジネスに特化した広報支援を展開し、メディアとクライアントへの深い理解を基に、ブランディング強化や認知度向上をサポート。スポーツ関連団体や企業に対する柔軟な対応で、成長を目指すスポーツ関係者から高く評価されている。

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