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日本のスポーツカンファレンスが衰退した原因 その解決策とは?

21.7.21

スポーツについて学ぼう、スポーツビジネスについて学ぼうという時に、手軽な方法の一つは、カンファレンスに参加することです。
日本でも7年ほど前から盛んになってきましたし、最近では東京だけではなく地方でも行われるようになりました。

私自身が初めてスポーツカンファレンスに参加したのは、2012年アメリカでのことでした。ボストンのマサチューセッツ工科大のビジネススクールが主催する世界最大のスポーツアナリティクスカンファレンスです。

日本では、このアメリカの例に刺激を受けて始まり、2014年から始まったスポーツアナリティクスジャパン(SAJ)や、2016年にスタートしたSportsXが先行していました。その後は、他にも増えていきました。

もっとも、昨年からは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、オンラインが主流となっています。しかし、残念ながら、その前の2019年から日本のスポーツカンファレンスは衰退の兆しがありました。参加者数が減り始めたのです。私の主観ではありますが、現場に行っても活気が感じられなくなってきていました。主催者側としてかかわった経験もありますし、そちら側の悩みも、ポツポツ聞こえるようになりました。

衰退した原因は三つあるのではないかと思います。

スポーツカンファレンスが衰退した原因は

一つ目は、客層の変化。

日本で始まった頃は、今は別の仕事はしているだが、スポーツビジネスに関わりたいという人が主な聴衆でした。懇親会の場などで名刺交換をすると、それがよく分かりました。しかし、2014年以降、自治体や企業などでスポーツイベントやスポーツ部門の担当者が置かれることが急増しました。また、チームなどでスポーツビジネスに関わる人も増えて行きました。そうした人達が手軽に学べる場として、スポーツカンファレンスに来ることが目立って多くなりました。つまり、個人的な興味関心が高い人を対象としていたものが、仕事上、聴きたい人の方が多くなっていったのです。この変化に、主催者側がぴったりとついていけなかったのではないかと見ています。

 

二つ目は、セミナーを行うことが別のものへの集客の手段となったこと。

カンファレンスは、そこで学びを得たり、交流することが本来の目的です。しかし、主催者側がイベントを収益化するために、スポンサーを多くとること、展示ブースを設けること、そしてその場所に人を呼ぶために、有名人を登壇させたり、セミナーを企画することが手段となってきました。こうした場合、セミナーは無料ということもあります。セミナーの中身や、参加者の意欲も薄まった可能性があります。人によっては、集客手段としてのセミナーと、カンファレンスそのもののセミナーの違いもよくわからなかったかもしれません。

 

三つ目は、登壇者のマンネリ化。

スポーツカンファレンスが数多く行なわれるようになると、似たような顔ぶれが登壇することが増えてきました。多くの聴衆を魅了するようなテーマを語れたり、話がうまい人というのはスポーツ業界に、そんなに多くはなかったことがあらわになりました。また、ビジネス的に簡便に進めるには、他のイベントで実績のある人を選んでくるというのが失敗が少ない方法です。しかし、これを聴取の側からみると、魅力は下がっていきます。同じ人間に、そんなに多くの新しい切り口やエピソードがあるわけではないですし、結果として同じような話を聞いたことがあることが増えていきました。それでは、関心が動かないということになっていったのだと思います。

 

では、どうすればいいのかというのは、上記の三つの理由の裏返しを対策とすればよいわけです。

この夏で、日本のスポーツ業界の大きな流れは一区切りがつきます。おそらく一時的にはスポーツビジネスに携わる人も減るでしょう。スポーツに関係して企業や自治体のお金が動くことも減るでしょう。

ただし、スポーツをビジネス化していく流れは、これからも続いていくはずです。だとしてれば、スポーツカンファレンスの存在意義はあります。本腰を入れて、カンファレンス自体を事業化していくという道もあると思います。私自身は「メディアの進化系がイベントだ」と思っているので、広報PRの範疇でやれることはたくさんあると確信しています。

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この記事の執筆者

早川 忠宏

早川 忠宏 | Tadahiro HAYAKAWA

スポーツPRプランナー ®
Sports PR Japan 株式会社 代表取締役

13年間の記者経験と米国留学を経て広報に転身。日本ブラインドサッカー協会で初代広報担当として認知度向上に貢献し、PR会社でのコンサルタント経験も豊富。スポーツビジネスに特化した広報支援を展開し、メディアとクライアントへの深い理解を基に、ブランディング強化や認知度向上をサポート。スポーツ関連団体や企業に対する柔軟な対応で、成長を目指すスポーツ関係者から高く評価されている。

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