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研究を実践に応用しよう

11.12.27

大学院で学んだことはいろいろありましたが、こういう学びが重要だなと感じたことが最後の学期にありました。

「スポーツ心理学」というクラスで、正直に言うと、必修なので仕方なく取ったという気持ちが大きかったのですが、結果としては得るものが大きかったです。(余談ですが、ただでさえ専門用語が難しいのに、先生の話す英語が早くて、しかも随所に自虐的なジョークが混じっているという難解なもので、当初は本当に後悔しました。)

期末試験の課題として与えられたのは、ある新聞の記事を読んで、この選手が抱えている心理学上の問題をひとつ決め、そのテーマに関する論文一つを探して要約し、そこから解決策やなんらかのヒントになることをまとめなさいということでした。

記事NYタイムスのもので、最近引退したあるNFL選手が、プロフットボールの世界というのはいかにタフな環境か、ということを率直に語った内容です。英文ですが、こちらです。

ざっと読んで課題として浮かび上がったのは、

脳震盪(とその影響)、うつ病(怪我や引退による)、モチベーション、筋肉や男らしさへの世の中の評価、引退などです。

最初の3つは、すぐに思いつきそうだったのと論文も多いので、ほかのクラスメートがやるだろうと思って外しました。英語がつたない分、同じ土俵では勝負したくありません。四つ目は調べましたが、社会学の領域に入ってしまうようで、心理学ではないので、これも断念。引退というテーマに決めました。目の付け所や切り口は、語学力とは関係ない部分なので、レポートや何かを発言する時はここが頑張りどころというのは留学生活で学んだ知恵です。

この記事の選手の引退は、「けがによるもので、本当はもっとプレーしたかった」「引退後はフットボール解説者の仕事をメディアでやっている。フットボールのクリニック(指導会)をしたい」という2点に特徴があります。

引退をテーマに論文を探していくと、オリンピックスポーツ競技者を対象にしたある研究結果が出てきました。この研究では

「けがなど不本意な理由で引退した選手は、自信を喪失して、その後の人生にもマイナスの影響が出やすい」

「引退後は、今まで携わってきた競技とあまり関係のないことをした方が、充実感を得やすい」

ということが分かりました。

これを当てはめて考えて、この選手の引退は必ずしも幸せな引退ではなく、フットボール以外の何かやりがいのあることも見つけるよう努力すべきだというアドバイスをまとめました。

実際、さまざまに報道されている統計によると、NFL選手の65%が故障によって引退しており、75%が引退後5年以内に、仕事が見つからないことや離婚など、更なる苦しみを味わっているそうです。

もちろん、アマチュア選手の研究結果をプロ選手に当てはめるのは無理があるという人もいるでしょう。研究者なら、改めてより近いサンプルで研究しなおすべき、という意見があるのはわかります。 しかし、だからといって、2年も3年も、その研究を待っていたのでは、その間の解決は進みません。

教授にとっても初めての試みだったそうですが、学生からの回答が、教授の予想を超えて深い内容のものがあったそうで、喜んでいました。

以前に、このブログでも「研究者と実務家の違い」という記事を書きました。僕は、実務家の道を進んでいきます。今の研究成果で分かっている範囲内で、何らかのヒントを見つけて実践で試してみること。自分の仕事としては、それを心がけていきたいと思います。

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この記事の執筆者

早川 忠宏

早川 忠宏 | Tadahiro HAYAKAWA

スポーツPRプランナー ®
Sports PR Japan 株式会社 代表取締役

13年間の記者経験と米国留学を経て広報に転身。日本ブラインドサッカー協会で初代広報担当として認知度向上に貢献し、PR会社でのコンサルタント経験も豊富。スポーツビジネスに特化した広報支援を展開し、メディアとクライアントへの深い理解を基に、ブランディング強化や認知度向上をサポート。スポーツ関連団体や企業に対する柔軟な対応で、成長を目指すスポーツ関係者から高く評価されている。

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