人生3度目の就職活動中です。学部を卒業した十数年前に就職浪人をしていて、その時以来となります。
仕事を探す時にいつも頭にあるのは、自分をどう生かすかということ。そして、昔の就職活動で一番悩んだのは、どの程度まで自分のこだわりを貫くのかということ、特に、「好きなことを仕事にするべきか?」ということでした。
自分の好きなこと、というのはもちろんスポーツに直接関わる仕事です。
一年目の就職活動に失敗した後、少なからぬ人から「もっと視野を広げるべきだ」とか「今は好きじゃなくても、やっているうちに愛着がわいてくることもあるよ」などと言われました。他のスポーツに関係のない仕事も見ておけ、というアドバイスでした。スポーツマスコミ関係の面接を何度受けても失敗するし、だんだん弱気になってきました。自分の力がないのか、センスがないのか、キャラクターが合ってないのか、などなど自問自答の日々。そのうち、「好きなことは仕事にすべきじゃない」という人の声が気になってきました。
迷いに迷って、ある日、スポーツの書き手の偉大な先輩に思い切ってぶつけてみました。「好きなことを仕事にするべきか?」と。今はこの方は亡くなってしまいましたが、当時、この方を中心にマスコミ志望の大学生を集めた塾みたいなものが開催されていました。このような切り口や、ぬくもりや、文章のトーンで書きたいなと手本にしている存在だったのです。その人の答えというのを今でもはっきりと覚えています。
「好きなことにせよ、嫌いなことにせよ、仕事で食べていくには、1日8時間とか10時間とか働かないといけない。1日の大半の時間は、好きなことをして生きていきたいと思わないかい?」
答えは言わずもがなです。
実際に仕事を始めると、別の観点も得ました。学生時代に比べて働いている人と接する機会が圧倒的に増えます。同僚や仕事相手、また、料理人や出張先のホテルの人など、名刺交換しないような人とも接します。何千人、何万人と。そして日本人に限らず外国の人とでも、短い時間でも直接その人の仕事ぶりに触れると、ホントに好きでやっているのかというは、伝わるものだと感じました。「ええっ! そこまでやるんだ」というような入念な準備や、人を驚かせるパフォーマンスを見せる人もいれば、文句を言いつつも、その仕事に愛着があって離れられないんだなという人もいて、それはわかります。
ひどい人もいました。タクシーの運転手に「道を知らないんですよ」とか「お客さん、行き方を決めてください」とか言われるとびっくりしました。人を運ぶのが仕事なのに、そのことへのこだわり、探究心はないのでしょうか?一瞬で伝わってがっかりします。さらに時間やお金のコストが余計かかった場合は、お客さんへの助けではなく、迷惑ですよね。それは仕事とは言えません。こういう反面教師を見るにつけ、「好きなことを仕事にするべきだ!」との思いがまた強くなりました。
こうした経験から、今は「一番好きなこと。そして、得意なことを仕事をにすべきだ」と確信しています。好きこそものの上手なれで、素晴らしいものを見せてくれる人は、そのことに莫大な時間とエネルギーを注ぎ込んで、どんどん質を上げています。そして、それが相手にも伝わるのです。
これは、もしかしたら自分がやってきたことを正当化する一種のポジショントークかもしれません。そして、こうした考え方の持ち主なので、僕は嫌いなことを進んでやって、人から喜ばれたことがありません。ただ、この確信は苦しい時期を乗り切る軸になっていて、そうやって生きています。
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Sports PR Japan 株式会社 代表取締役
13年間の記者経験と米国留学を経て広報に転身。日本ブラインドサッカー協会で初代広報担当として認知度向上に貢献し、PR会社でのコンサルタント経験も豊富。スポーツビジネスに特化した広報支援を展開し、メディアとクライアントへの深い理解を基に、ブランディング強化や認知度向上をサポート。スポーツ関連団体や企業に対する柔軟な対応で、成長を目指すスポーツ関係者から高く評価されている。