最近、図書館で個性的なタイトルのスポーツ書籍に出会いました。「フィギュアスケートとジェンダー~ぼくらに寄り添うスポーツの力」という本で、著者は朝日新聞記者の後藤太輔氏です。

何が書かれているのかを一言で言うと、「日本人の多くが思っている『スポーツの力』より、もっといろいろあるよ」ということです。それを伝えるために、海外と国内の様々な事例を紹介しています。障がい者スポーツの現場などを含めて、何年にも渡って取材を積み重ねてきたことがわかります。スポーツを通じた社会貢献活動を行うNPOの人ではないので、世界の現場を飛び回って幅広く見ている点が強みになっています。また、今までこうした観点のジャーナリスティックな読み物はなかったように思います。

ことし行われた平昌冬季五輪でフィギュアスケートを担当していたことから考察した、性的少数者とスポーツの関係を冒頭に持ってきています。それはおそらく、スポーツの中でも日本で飛びぬけた人気を持つフィギュアスケートの例なら、より多くの人に手に取ってもらえるのではないか、という狙いがあるように思います。ただ、私は、本当に力を入れて語っているのは、第3章だと感じました。子どもたちを救うスポーツの力を取り上げたり、アメリカでのトップ選手が学生時代を含めて当たり前に社会貢献活動を行っていることを書いている部分です。

113~114ページに、こう書かれています。

「日本でもその当時、トップチームやトップアスリートによる社会貢献活動は行われていた。しかし多くは、スポーツ交流やスポーツ教室という、社会貢献活動と言うよりも、自分たちのスポーツの普及活動に近いものだった。スポーツという枠を飛び出した活動も、寄付か、訪問活動や試合への招待が目立った。どれも良いことなのは間違いないが、日本でももっと、幅広く、選手自身が労力をかけて行う多様な活動ができるはずではないか」

これが、一番言いたい事だと受け取りました。

 

先日、Jリーグが『未来共創「Jリーグをつかおう!」』と題した300人規模のワークショップを行いました。Jリーグを使って、何ができるのか、をチーム関係者、現役や引退した選手、NPO関係者、医療関係者などが集まって考える。これがリーグ創設25周年を記念するイベントというのですから、日本ではJリーグは他の団体よりも何歩も抜きん出ているなと驚きました。例えば、こういうことが後藤氏が指摘していることだと思います。

「スポーツの力」については、7年前になりますが、このブログでも一度しっかり深く考えて記事にしています。私も見た例だと、スポーツの持つ、人を集める力や物事を前向きにとらえる力を使ったマラソンイベントが思い浮かびますが、こうした活動も日本ではあまり行われていません。

 

後藤氏の本は、選手や指導者、リーグやチームで働く人など、スポーツを仕事にしている人にとっては、耳の痛いことを指摘した本です。私も、もっと、創造的に、もっと貢献度の高いものを考えろ、と言われているような気がしました。ブログのサブタイトルにも掲げている「スポーツ周りの可能性を動かす」というビジョンには、こうした「スポーツの力」を使う活動に貢献することも含まれています。実践に向けてアンテナを張り、広報の部分で関わっていかなければ、と思っています。