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PRプランナーにスポーツをつけた理由

20.6.30

私は「スポーツPRプランナー」という肩書きを使っています。今のところ日本で1人だけで、検索しても出てこないので、海外でもいないようです。

この肩書きを実際に使うようになったのは、2018年に独立した後ですが、これに決めるまでには紆余曲折がありました。このブログをさかのぼってみると、2013年9月に「自分の役割をどう名乗る?」というタイトルで書いています。

 

この記事を見ると分かりますが、実は私自身は違う肩書きに一度決めていました。それは「スポーツコミュニケーションアドバイザー」というものでした。「スポーツコミュニケーション」という学問の分野があり、アメリカでその本家本元と言える先生から学んできただけに、それを使えないか、日本でも広められないかと考えていたのです。

 

しかしながら、最終的にはプロの力を借りて、変える踏ん切りをつけました。自分は何ができるのか、どうなりたいのかとモヤモヤしていた2016年の夏のことでした。青山ブックセンター本店で行われた「自分の肩書きをコピーライティングする」というワークショップの案内に、自分のセンサーが反応したのです。他の人にもわかるような端的な言葉になれば、それを胸に道を歩んでいけるのではないか。それと、自分が考えていることを自分のことをよく知らない人から客観的に評価してもらいたい気持ちもあり、参加することを決めました。講師は坂本和加さんというコピーライターで、カルピスの「からだに、ピース」や、JR東日本の「行くぜ、東北」などを創作したことで知られています。

 

自分なりの案をいくつか書き出したあと、各参加者が坂本さんと対話をしていくのですが、そこでの助言は、まず「広報」という言葉は会社の部署のような硬い印象になるので使わないこと。私は結構こだわりのある言葉だったのですが、そこはバッサリと。それから、知られていないものを繋げるのではなく、知られている言葉を二つ組み合わせた方が理解してもらえやすいとの指摘も「なるほど」と思いました。例に挙げられたのは「ブックディレクター」だったことを覚えています。この時点で、「スポーツコミュニケーション」をやめることにしました。私の場合、「スポーツ」は言うまでもありませんが、広報よりもPRの方が柔軟でクリエイティブな印象になりますし、「PRプランナー」も資格認定試験が行われるほど浸透している言葉なので、それに決めました。

 

ワークショップの後も、いろいろと考える時間が数年あり、表題としては「スポーツPR」に変え、この分野を体系化したり、掘り下げていくことを構想するようになりました。スポーツマネジメント、スポーツビジネス、スポーツマーケティングといった言葉はかなり一般的になってきましたが、スポーツPRという言葉は普及していません。大型書店に行っても、一冊もそういう本は売っていません。しかし、PRという職種の専門分野はあるのですから、それにスポーツをつけたところで何らおかしくありません。「だったら、その中身を確立して、その言葉を普及させればいいじゃないか」という気持ちにもなってきました。もちろん、一人でできることではありません。共感できる、一緒に考える仲間とつくっていければいいなと思っています。

私は、キャリアにおいては20年以上スポーツに携わってきていますし、一方でスポーツが0%という仕事も3年弱ほど経験しています。一旦離れたからこそ、スポーツを真ん中に置いて仕事をしていきたいという強い気持ちになり、独立しました。

 

私はスポーツの価値を信じています。

 

ただ、「スポーツの価値」というのはよく言われますが、掘り下げて考えている人があまりいないです。チームワークだとか、一生懸命頑張ることだとか、非常に大雑把にしか考えられていません。スポーツやったことがあるなら感覚的にわかると思いますが、例えば、マラソンの価値とサッカーの価値は違います。しかし、そこまで深く考え抜いたような人の発言は、めったに見かけません。

「スポーツPRプランナー」を名乗る私にとって、必ず取り組まなければならないことは、この「スポーツの価値を共に考えられる方法」を見出すことではないかと思っています。それが研修のような形になるのか、テキストになるのかはまだ分かりません。

 

また、スポーツの価値をきちんと考えて伝えられる「スポーツPRパーソン」が増えてほしいという思いがあります。これは、単にスポーツビジネスを行ってる会社で働いているとか、プロスポーツチームで広報担当者を務めているから、わかっているわけではないと思います。そんな面倒なことは深く考えずとも、日々の仕事の中でこなさなければいけないことは山のようにあるでしょう。

だからといって、スポーツの価値を考えることをおろそかにしていては、何らかの要因で揺さぶりがかかった時に、ぶれることになります。ほんの数ヶ月前のことです。新型コロナウイルスの問題で世界的にスポーツができない状況に陥り、多くの人が「こんな時にスポーツにできることは何なのだろう」という疑問を発したことは記憶に新しいです。検索で私の書いたブログ記事にたどり着いた方も少なからずいました。こんな時に、「そもそも我々が提供しているスポーツの価値は~」と考えられる人が増えてほしいです。

 

だから、今となってはPRプランナーにスポーツをくっつけたのではなく、スポーツPRを掘り下げて、伝えるべきことを考えるプランナーとも解釈できます。スポーツの価値をきちんと考えて伝えられる「スポーツPRパーソン」が増えるよう、共に考えたり、後に続く人に何かを伝承したりする。私がこの肩書きを名乗る以上、真摯に取り組まなければならないことは、これに尽きます。

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この記事の執筆者

早川 忠宏

早川 忠宏 | Tadahiro HAYAKAWA

スポーツPRプランナー ®
Sports PR Japan 株式会社 代表取締役

13年間の記者経験と米国留学を経て広報に転身。日本ブラインドサッカー協会で初代広報担当として認知度向上に貢献し、PR会社でのコンサルタント経験も豊富。スポーツビジネスに特化した広報支援を展開し、メディアとクライアントへの深い理解を基に、ブランディング強化や認知度向上をサポート。スポーツ関連団体や企業に対する柔軟な対応で、成長を目指すスポーツ関係者から高く評価されている。

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