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敢えてマーケティング専攻にしたわけ

11.1.15

春学期、つまり2学期目に入る前に担当教官と相談して、スポーツマネジメントの中での専攻を決めて履修計画を提出しなくてはなりませんでした。

全6分野を最低1科目取った上で、一つの分野の科目を多めに取得する(27単位中の12単位)ことが卒業に必要な条件となっています。僕の場合、記者経験を生かす方向で将来の仕事を考えており、普通に考えるとスポーツ・コミュニケーション(PR)専攻ということになるのですが、敢えてマーケティング専攻としました。それには理由があります。

 

(1)仕事で学べなかった「お金に関すること」を補強するというのがそもそも大学院進学の理由だった

スポーツ記者として仕事をしてきた中で、いろいろな団体に出入りし、実情や困っていることなどを数多く見聞きしてきました。僕の場合はプロ競技を取材した経験は少なく、五輪を目指すことがメインである競技を主に見てきました。なので、「どうしたらファンが増えたり、注目度がアップするのか」ということと、「やりたいことはいろいろあるけど、資金が足りない」という話を聞くことが非常に多かったです。他の競技や海外で目にした実例を伝えたりしていましたが、どうしてもお金に関することはアドバイスができませんでした。だからこそ、ビジネス的思考を身につけようという思いが増し、大学院進学を決断したのでした。ビジネスの中で、コミュニケーションよりもマーケティングの方がお金を扱うことに近いと思います。

この大学のコミュニケーションの科目で提供されている内容は記者経験でカバーできそうなものが多いように思いました。英語で学ぶ、理論を学ぶ、ということは考慮しましたが、学ぶことの伸びしろは少ないのではないかと判断しました。取りたい科目もいくつかはあり、「ソーシャルメディアとスポーツ」は先学期に履修しました。

 

(2)思っていたより、自分はマーケティングが得意だ

大学院進学を考え出したころから、記者の仕事しか経験していない自分に本当にビジネス的な素養があるのかを試そうと思い、東京でビジネスの1日講座や短期講座に何度か出席してみました。グループワークでケーススタディーに取り組む学習が多かったです。与えられたケースを読み、自分なりに現状を分析し、打ち手を考え、ディスカッションしていくわけですが、ビジネスの現場でバリバリやっている人ばかりの中で、「模擬試合」を経験し、自分の何が通用し、何が足りないのかを考えました。その中でマーケティングは特に面白く、感性を生かせて、プロに混じってもいくらか貢献できるアイデアを出すこともできました。こちらに来てからも、最初の学期に早速スポーツマーケティングのクラスを履修し、英語でやっても上位の成績が取れたので、「いける!」と確信しました。

少し話は変わりますが、個人的には、仕事というのは「自分の得意分野で他者のために役に立つこと」と考えています。例えば、道を覚えるのが苦手なタクシーの運転手は、いくら本人がやりたいと言っても、顧客からすれば迷惑です。スポーツ選手だって、他人から見てこれはすごいと認めるレベルになければプロとしてお金はもらえません。イメージとしては、特に意識せずにやっていた時にも他の人よりいくらか抜きん出ていて、さらにその道を追求することを苦にしない分野を仕事にすべきではないかと思っています。僕の場合はスポーツへの興味、関心というのは普通の人よりはある、と思ってきましたし、さらにビジネス的な分野の中ではマーケティングが使えるという判断をしたわけです。

 

(3)マーケティングとコミュニケーション(PR)は融合しつつある

これは最近得た感触です。あるスポーツ組織や個人と、外部にある関係者をリンクしていくという点で、マーケティングとコミュニケーション(PR)は似ています。前者は、主に顧客やスポンサーを対象としたリンクで、後者は主に地域やメディアを相手にしているという分類だと思います。また、僕の場合は、記者の仕事でどうすれば読み手に面白いと思ってもらえるかをひたすら考えてきました。これも自分が得た情報と顧客の間に立って、どのようにリンクするのかということです。これをマーケティングにコンバートした場合、イメージやメッセージを届ける点は似ていますが、購買行動、つまりお金を払ってもらって完結するところまでやるという点が違っているのではないかと思います。

そんなことをぼんやりと考えていた先学期に、「ソーシャルメディアとスポーツ」のクラスのテキスト「The New Rules of Marketing & PR」(David Meerman Scott)にソーシャルメディア上ではマーケティングとPRの境目はないというような内容が書かれているのを目にしました。ソーシャルメディアは、既存のメディア(TV、新聞、広告)をはさむのではなく、直接、顧客とやりとりするから、というのがその根拠です。実際、アメリカのスポーツチームのFacebookなどを見ると、チームの選手に関するニュースも、商品の宣伝も同じ欄に上がっており、ファンも特に違和感なく受け入れて、反応のコメントを残しています。

よって、仕事のポストとしてPRを選ぶとしても、マーケティング力に優れていることが必要な要素になっていると考えています。もしかしたら、分野を分けなくなる日も近いのかもしれません。

 

以上、3点つまり自分の状況と世の中の流れを考えた上で、マーケティング専攻とすることにしました。日本と違って、アメリカでは大学で勉強した内容が就職に直接結びついているので、この選択は非常に重要だと思っています。

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