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SPORTS PR JAPAN スポーツPRジャパン

私がスポーツと他の分野がつながるために続けてきたこと

20.8.24

私の会社、Sports PR Japan株式会社は『スポーツと他の分野がもっと当たり前につながる世界をつくる』をビジョンとして掲げています。なぜ、そうしたかというのは、たいそうな話ではなくて、私自身がこの十年あまり、このことを頭に置きながら仕事をしてきて、それをそのまま書いただけです。

このテーマを意識するようになったのは、最初の仕事である、スポーツ記者としての経験が出発点だと思います。連盟や協会などの競技団体を取材する日々の中、「もっとメジャーになりたい」「もっと多くの人に知って欲しい」と言いながらも、自分たちの世界でこれまで続けていきたことを打ち破れなかったり、うまく伝えられなかったりしているように見えたことがありました。

 

大きなターニングポイントになったのは、ブラインドサッカーとの出会いです。「スポーツは、勝ち負けやメダルを獲ることだけではなく、その競技が持つ特性でも世の中の役に立つはずだ」と考えて、その方法を模索しながら進むことを近くで目の当たりにしました。当時書いていたアメリカの大学院への出願書類にも、「様々なスポーツで社会と結びつける役割を果たしたい。社会貢献によって、スポーツビジネスが持続可能な状態を作ることに貢献したい」などと挙げています。

 

そんな時、アメリカで英語でスポーツビジネスを勉強する前に、日本でできるだけビジネスを学んでおいた方が良いんじゃないかと考え、単発のビジネス講座をたびたび受けました。それまでの私は、スポーツ界にどっぷりとつかり、取材を一生懸命するということで、毎日スポーツ業界の関係者とばかり話していました。そんな私が、学びに来ている立場とは言え、バリバリビジネスをやっている人を相手に議論をする機会を持ちました。「現場を知らないわけだから、全然通用しないだろう」と思っていたのですが、大学の時に学んでいた経営学の本を読み直して、なんとか食らいつく。また、スポーツ団体を取材する日々というのは、裏側も含めて組織の経営を見ていた経験でもあったと気づき、ビジネスパーソン相手にもいくらか使える発言をできました。完全なる相手陣地で戦う経験でしたが、「こういうのも面白いかも」と、多少の自信になりました。

 

アメリカから帰国後、日本ブラインドサッカー協会の広報として働き始めた後の2014年には、「広報の基本となることを体系的に学べば早く伸びるだろう」と思って、広報担当者養成講座に通いました。こちらにいた皆さんは担当替えで広報こそ初心者ですが、それぞれの会社でバリバリと働いている人達ばかりでした。ある日の講座終わりの飲み会で、私が「ブラインドサッカーにおいては、試合がない時期の広報を切らさないようにしている」という話をした時に、石油ファンヒーターを売っている会社の方が、それにヒントを得て、春先や夏場の広報ネタを思いついた、ということがありました。自分がスポーツ界で実践したことが他の分野の方に生かされた体験でした。

 

その後、二つのPR会社で働くことになるのですが、これはスポーツ関係の顧客やプロジェクトを担当することは0%の仕事でした。様々な業種の企業を相手に、危機管理広報、広報の体制作り、メディアトレーニングなどを任されました。私がスポーツの現場で身につけたことを他のビジネスの現場で活かし、それでお金をいただくという形でしたが、スポーツを語ることはまったく期待されていないという状況が辛かったです。会社でやる仕事にちょっと危機感を感じて、広報や広告を専門とする人ばかりが集まるラボに参加したのも、この頃でした。

2018年秋にスポーツPRプランナーとして独立した後も、スポーツ以外の分野に出て交流するということは、ずっと続けています。この1年を振り返っても、渋谷区の創業セミナー、コンサルタントの養成塾、経営を学ぶゼミに参加してきました。いずれもスポーツを仕事にしている人は、ほぼいない場です。ちなみに趣味では、ビジネス書を読む読書会、英語で喋るサークルに(最近はオンライン化されましたが)参加したりもしています。このような場で、「スポーツ界も似たところがあります」といった話をすると面白がられますし、ビジネスの状況をスポーツに例えるとわかりやすくなったりもします。そういうのが、どんどん楽しくなってきたので続けられています。一方で、私のお客様はスポーツビジネスをしている組織や企業に絞っていますので、他の分野を専門とする方々の中で学んだことは、全てスポーツに突っ込んでいるということになります。

 

こうした相手陣地でスポーツを語る経験を何年も重ねてきて、一つわかったことがあります。

スポーツと他の分野がつながることを目指すなら、本を読んだり、座学のセミナーを受けていてはダメだということです。スポーツ界の人と他の分野の人が記事上や壇上で対談をしているのを眺めて、ふむふむと言っていても、自分は変わりません。
スポーツがバックグラウンドにある自分を知ってもらわなくてはならない。グループワークやディスカッション、ワークショップなどで、違う見方をする人と対話することや共同作業を通じて相互理解が深まり、つながっていくということです。協力者を見つけるということです。当たり前と言えば当たり前、そんなに難しい話ではないです。スキルとしては、スポーツの専門性を持っているなら、それをその場に応じて活かせるよう、自分なりに変換して語れなくてはいけないということです。思い切り外したり、スベったこともありましたし、そもそもスポーツが嫌いだという人だったり、メディアの伝えるスポーツの姿に批判的な人と一緒になることもありましたが。

 

ビジョンを掲げているなら、まずは自分から。これをグループ、そして社会へと広げていく。これからも愚直な実践を続けます。

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